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04-2


「おまえも解らないのか、コウ?」

「うん。どう言葉で表現したらいいか判らない。なんだろ。黒い靄みたいなのが体を覆ってるような感じ?」

「……それが一番近いかも」

「……もう少し、具体的に表現できませんか?」

嫌な雰囲気を持っているというのは判ったが、あまりにも漠然としすぎていて、クレウィーアはどう行動するべきか決めかねているようだった。

「具体的にって言われてもなぁ。青、なにかある?」

「ずっと近くにいると、兎に角、気持ちが悪くなるの。え……と、ムカムカするっていうか……吐き気がするみたいな……剥き出しの負の感情を、ぶつけられたみたいな感じ」

「ああ、そんな感じだね」

なる程、とクレウィーアは頷いた。

「よからぬ事を企んでいる輩のような感じですね」

「……そんな感じ?」

「微妙に違うけど、そんな感じ、かなぁ」

双子はうーんと悩みながらも肯定を示した。

「解りました。取り敢えず、彼等には監視をつけましょう」

「そうだな。だが、誰にやらせる? 兵士は秘密裏な仕事は不向きだから、俺の部下じゃ無理だぞ」

事が事だ。口が固く、しかもそういう仕事に長けた人間は数える程しかいない。

「サウールが適任だろう、彼に任せよう。サウール聞こえているな」

「はい」

声のみの返事が聞こえた後、部屋の隅にゆらりと人影が現れた。

「サウール」

紅は立ち上がり、片膝をついて頭を垂れるサウールへと近付き、ぺこりと頭を下げる。

「あの時はお世話になりました」

リードグレンが遠方に出掛けたまま行方不明になった事があった。その時、紅は彼の助けを得てリードグレンを捜しに行った事があったのだ。
サウールは下げていた頭を上げると、困惑したような表情を浮かべた。
上位の者からは、労をねぎらう言葉は幾度となく掛けられてきたが、純粋なお礼の言葉を掛けられた事がなかったのだ。
青も立ち上がり紅の横に立つと、同じ様に頭を下げた。




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