[携帯モード] [URL送信]
02-2
イシュヴァルトの表情が判らないくらい僅かに歪んだ。

「コウが寂しがるな」

国境付近までは、昼夜不眠で馬を飛ばしても、片道最低四日はかかかる。しかも、早馬伝令の為の換え馬詰め所で何度か馬を換えながらの話だ。
リードグレンは当然一人ではなく、直属の部隊を連れて行く。そうなると馬を飛ばして行く訳にはいかない。
詰め所には、部隊全員の換え馬の蓄えなどありはしないし、リードグレンには換え馬を使用する権限はあるが、部下にはない。
馬を潰さない為に、必然的に一日に進む距離は短くなり、目的地に到着するまでの行程も伸びる。

イシュヴァルトの言葉に、リードグレンは遠い目を窓の外に向けた。

「あいつなら、解ってくれるさ」

紅と離れる事を寂しいと感じるのは、リードグレンも同じだ。

「──そうだな」

リードグレンと同じ方向に視線をやって、イシュヴァルトも小さく嘆息した。





[*前へ][次へ#]

5/50ページ


あきゅろす。
無料HPエムペ!