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さくら【03】


洋輔と一緒に通学するようになってひと月。

僕が彼を吹っ切れるまで、洋輔は僕と通学するつもりみたい。


「告らないの?」


って、親友の麻紀は言うけれど、嫌われているかも知れない人になんて、とてもじゃないけど、僕から告白なんてできないよ。

はぁ。

ため息が零れ落ちる。





あの電車がホームに入ってくる。

彼の乗る車両に、重い足取りで一人乗り込む。


今日は、洋輔は体調を崩して休み。
「大丈夫だ」って、全然大丈夫じゃなさそうなのに、無理して一緒に学校に行こうとするから、洋輔のおばさんとこに引っ張って行ったら、熱が三十八度もあったのが判った。


「お風呂上がりに、いつまでも薄着のままで電話してるからでしょっ!」


なんて怒られてた。
麻紀と電話してたんだね、きっと。


定位置になっている場所に落ち着くと、勝手に口から飛び出しそうになるため息を飲み込む。


彼は今日もいた。


やっぱり格好いい。


思わず見とれていると、バチリと彼と視線が重なった。


僕は慌てて眼を逸らした。
心なしか、頬が熱い。
赤くなったりしてるのかな。


それを隠したくて、僕は頬を両手で包んでそっと俯いた。




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