洋輔【01】
幼馴染みのさくら。
可愛い可愛いさくら。
麻希と出会わなければ、俺は間違いなくさくらに恋をしていた。
幼馴染みだが、兄弟のように、家族のように、恋人のように。
そんな大切な存在のさくらが、恋をした。
相手は同じ車両に乗っているサラリーマン。
嫌われたと言って、さくらは泣いた。
そんな事は有り得ない。
誰もが見惚れるくらい可愛くて綺麗なさくら。
性格だっていい。
そんなさくらを嫌いになる奴など、いる筈がない。
俺も麻希もそう思っているし、実際さくらにもそう言った。
けれど、さくらは俺達の言葉を信じ切れていないようだった。
不安そうに俯くさくら。
そんな表情(かお)は似合わない。
ムカついた。
さくらにこんな表情をさせる相手に。
どんな奴だ。
さくらを悲しませる奴は。
俺はさくらと一緒に通学する事にした。
勿論、恋人の麻希もさくらが大好きなので異論はなかった。
俺はさくらを迎えに行き、さくらがいつも乗る電車を待った。
さくらは車両の中で注目されていたようだ。
俺がさくらを庇いながら一緒に乗り込むと、あちこちから嫉妬混じりの視線が向けられた。
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