さくら【02】-2
涙が瞳いっぱいに溜まる。
「よしよし」
麻紀は僕の頭を何度も撫でてくれた。
「大丈夫だよ、そんなコト思われないよ」
どうしてそう言い切れるの?
「大丈夫」
その言葉を信じたい。
けど……。
「うす」
「洋輔、おはよ」
洋輔は、電車の彼の話を知っている、もう一人の友達。
彼は、僕の幼馴染みで、クラスメートで、麻紀の恋人でもある。
「どうしたんだよ、さくら。何泣いてるんだ?」
洋輔は、びっくりした顔で僕を覗き込んでくる。
何度も同じ話をしたくなくて、僕は黙って俯いた。
「実はね……」
と、変わりに麻紀が説明してくれた。
「あー、ナルホドね」
ひとしきり話を聞いた洋輔は、うんうん、と納得している。
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