さくら【02】
今日も僕は
あの人を探す。
あれ、いない?
いつもの車両に乗り込み、彼を探す。
いつもなら直ぐに判るのに、今日はいくら見渡しても彼の姿を見つけられなかった。
どうしたんだろう?
遅刻したのかな?
それとも──僕が見ている事に気がついて、車両を変えた?
僕は凹んだ気分のまま、学校に向かった。
「おはよ」
すとん、と僕が自分の席に着くと、親友の麻紀が挨拶をしてきた。
「……おはよ」
「どうしたの、さくら?」
元気のない僕に、麻紀は心配そうに額に手を当てる。
「……うん」
麻紀には、電車の彼の話を隠さずにしていたから、僕は今朝あった事を包み隠さず話した。
「バレちゃったのかな……気持ち悪いって思われてたら、どうしよう」
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