07
「いっぱい愛してあげようね」
この子が生まれてきたら、沢山、沢山愛してあげたい。
この腕に抱いて、愛してあげられなかった『あの子』──レザナスの分まで。
「……ああ」
イシュヴァルトは、髪を撫でる青の指を取り唇へと導き、細く、たおやかな左の薬指に、そっと唇を落とした。
「ああ……そうだな。沢山愛してやろう」
ゆっくりと、青の顔が降りていく。
その気配を感じ取ったイシュヴァルトが、そっと顔を仰向けた。
どちらからともなく、自然と唇が重なった。
夜のしじまの中に、青は、幼子の笑い声を聞いたよう気がして、空を見上げた。
(ねえ、そこにいるの?)
月はただ、宝石のようにその姿をそこに輝かせていた──。
fin
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