06
無垢な心を持った彼にはぴったりの名前だと、青は思った。
「いいね」
青はイシュヴァルトの髪をそっと撫でた。
「気に入ってくれるといいが……」
「気に入ってくれるよ」
腰に回されたイシュヴァルトの腕に、少しだけ力が籠もった。
出来ることなら、この腕に抱いてやりたかった。それは、どちらの心の奥に潜む思い。
けれど、それを言葉にしても意味はないから、二人は気持ちを祈りに封じ込める。
彼に届くように──。
イシュヴァルトも青も、彼の存在を絶対に忘れない。
青は、これから産まれてくる兄弟姉妹達にも、きちんと話してきかせてやろうと、心に決めていた。
「……静かだね」
「ああ……」
青は、腹を押さないように注意しながら凭れてくるイシュヴァルトの髪を撫で続けていた。
「ね……」
「ん?」
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