[携帯モード] [URL送信]
05



「……そうだね」


腹に添えていた手を離して、イシュヴァルトはそこに顔をそっと近付ける。
耳を押し当てると、胎児の心音が聞こえる気がした。


「ねぇ、名前考えてくれた?」


「ん?」


「あの子の……」


青は夜空を見上げた。セイレスとクレストの懐で守られた、新しい小さな月を。

いつまでも『あの子』とは呼びたくなくて、名前がないのは可哀想だと、青はイシュヴァルトに相談していた。考えておこうとイシュヴァルトが請け負ってくれたので、任せてしまっていたが、あれから、もうかなりの月日が過ぎていたので流石に気になったのだ。


「ああ。考えた」


「どんな名前?」


イシュヴァルトは少し迷うように口を噤んでから、意を決したように告げた。


「レザナス」


「レザナス……どういう意味?」


「“どこまでも澄み渡った・何物にも染まらない”という意味だ」




[*前へ][次へ#]

5/7ページ


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!