04
「ホント?」
昼下がりの中庭に、紅の嬉しそうな声が上がった。
.....04
日課の昼食会の後、中庭で日光浴を楽しんでいた青は、昨夜イシュヴァルトから結婚を申し込まれ、それを受けた事を紅に報告していた。
「しーっ、しーっ」
青は慌てて紅の口元を塞いだ。
「ごめん」
もごもごと謝る紅に、青は塞いでいた手をどけた。
「良かったね」
嬉しそうに微笑む青に、紅の表情も緩む。
「赤ちゃんの事、ちゃんと言ったの?」
「ううん、まだ」
下腹部を、そっと包み込むように手のひらで撫でる。
「どうして?」
「だって、まだハッキリしてないでしょ?」
「……そうだけど」
「だからさ、こっそり診て貰おうかなって」
顔を寄せ合ってヒソヒソと話していた二人の背後から、そっと近付く者がいた。
「これは、これは。《双月の巫》様方では御座いませんか」
急に声を掛けられて、青も紅も飛び上がって驚いた。
「あ……クレイモア公爵……様」
振り返ると、でっぷりと腹の出た体に煌びやかな衣装を纏った公爵が、脂ぎった顔に、にこやかな笑みを浮かべていた。
[*前へ][次へ#]
無料HPエムペ!