[携帯モード] [URL送信]
04


「ホント?」

昼下がりの中庭に、紅の嬉しそうな声が上がった。



.....04



日課の昼食会の後、中庭で日光浴を楽しんでいた青は、昨夜イシュヴァルトから結婚を申し込まれ、それを受けた事を紅に報告していた。

「しーっ、しーっ」

青は慌てて紅の口元を塞いだ。

「ごめん」

もごもごと謝る紅に、青は塞いでいた手をどけた。

「良かったね」

嬉しそうに微笑む青に、紅の表情も緩む。

「赤ちゃんの事、ちゃんと言ったの?」

「ううん、まだ」

下腹部を、そっと包み込むように手のひらで撫でる。

「どうして?」

「だって、まだハッキリしてないでしょ?」

「……そうだけど」

「だからさ、こっそり診て貰おうかなって」

顔を寄せ合ってヒソヒソと話していた二人の背後から、そっと近付く者がいた。

「これは、これは。《双月の巫》様方では御座いませんか」

急に声を掛けられて、青も紅も飛び上がって驚いた。

「あ……クレイモア公爵……様」

振り返ると、でっぷりと腹の出た体に煌びやかな衣装を纏った公爵が、脂ぎった顔に、にこやかな笑みを浮かべていた。

[*前へ][次へ#]

15/86ページ


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!