04-2
両親が心配なのは嘘じゃない。
巫覡としての己に疑問を感じるのも、嘘じゃない。
(だけど……)
それは己の心を正当化する為の言い訳にしか過ぎない。
そうして心にセーブをかけていないと、脆く崩れてしまいそうだった。
いつか青が紅の手を離れて、一人で歩き出すことは判っていたことなのに、置いて行かれたような、なんとも言えない寂しさが、胸にしこりとなって残る。
(自分は、もっと強いと思ってたのにな)
紅は支えているつもりになっていたが、実は青に支えられていた事に、今初めて気づいた。
元の世界へ帰る方法も解らない。
解ったとしても、帰っていいものかも文献を調べてみたが、判らなかった。
自覚はないだけで、巫覡としての役割を果たしているのだとしたら、紅が居なくなれば、この国は崩壊へと向かって行くだろう。
前にも後ろにも動けない状態に陥ってしまった。
そんな時にも、脳裏を掠めるのは、屈託ない笑顔を見せてくれる、彼の存在だった。
.
[*前へ][次へ#]
無料HPエムペ!