01-3
「そっか……そうだよね。後継ぎが必要だよね」
ふと、元の世界の両親が脳裏を過ぎった。
青と紅が共に居なくなった彼等の家を、誰が継ぐことになるのだろう。
両親が老いた時、その面倒を誰が見てくれるのだろう。
青は間違いなくここに残った方がいい。
だが、紅は、帰れるならば自分は帰った方がいいのではないかと思った。
「コウ、どうした?」
リードグレンが僅かに眉を顰めていた。
「あ……あ、うん。どうだろう、判らない」
「そうですか。医師の診断を受けて貰った方がいいのでしょうか……」
「そうだね……」
心ここに在らずといった紅の口調に、クレウィーアも訝しそうにしている。
「何か、気になる事でもあるのですか?」
「ううん、何でもないよ」
「そうですか?」
にっこりと笑みを浮かべてみせると、クレウィーアはほっとした表情になった。
(誤魔化せたみたい)
二人は再び会話を弾ませ始めた。
どことなく険しい顔つきでその様子を見やりながら、何事かを思案しているリードグレンがいた。
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