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01.
「やっとくっついたか」
中庭の木陰で楽しそうに話をしているイシュヴァルトと青を眺めやりながら、リードグレンがぽつりと呟いた。
「本当ですね」
クレウィーアは茶器にお茶を注ぎながら、頷いた。
リードグレン、クレウィーア、紅の三人は、二階のテラスにテーブルと椅子を持ち出し、優雅なお茶の時間を楽しんでいた。
「僕達から見れば、青もイシュヴァルトも、お互い好きあってるのが判ってたから、余計もどかしかったもんね」
紅は、皿の上に綺麗に並べられた茶菓子を口にほおり込むと、淹れたてのお茶をひと口含んだ。
イシュヴァルトを敬承ではなく名前で呼ぶことを許されているのは、このグランファード国では、たった二人。
青と、その双子の紅だけだ。
彼等はこの国と大地との架け橋となるべく遣わされた、《双月の巫》だからだ。
「行儀悪いですよ」
リードグレンがテーブルに付いていた肘を、クレウィーアがピシリと叩いて咎める。
「ちぇっ」
リードグレンはふてくされた。
その仕草が可笑しくて、紅はつい小さく笑ってしまった。
ごついナリをしているくせに、その子供じみた態度が可愛らしく見えてしまうから不思議だ。
「セイが自らを贄にした時は、どうなるかとヒヤヒヤしたがな」
ふてくされてみせたのは形だけだったようだ。
「あの時の陛下の落ち込みようは、見ていられない程痛々しかったですからね」
「ああ」
お茶の注がれた茶器を、クレウィーアはリードグレンの前に置いた。
リードグレンはそれに手を伸ばし、美味そうに味わう。
「コウも心配だったんだぞ」
カチャリと茶器を戻したリードグレンの視線が、紅に向けられる。
「僕? ……そうだね、心配かけたよね」
紅は苦笑を浮かべた。
自覚はある。
青は柱に封じ込められているのを見た時は、かなり取り乱していたから、よく覚えてはいない。
だが、リードグレンが何くれとなく世話を焼いてくれた事は記憶にしっかりと残っていた。
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