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ミスター大暴投


「クリス先輩!投球練習付き合って下さい!」


わんわんわん。
忠犬沢村がクリスに纏わり付く。
食事中だったクリスは少し困ったように、でも結局は仕方ないなと笑って投球練習を引き受ける。
そんな様子を少し離れた場所で見ていた亮介はクスッと笑った。


「相変わらずクリスは犬に甘いねー」

「ん。俺も犬は好きだぞ」

「哲、そういう話じゃねーよ」


もぐもぐとご飯を咀嚼しながら噛み合わない発言をする結城に伊佐敷がツッコんだ。
だが亮介はまったく気にしない。にこにこと笑いながら話を続ける。


「ねぇ、沢村って何犬だろうね」

「やはり犬は柴犬が一番だ」

「哲、お前違う話してねーか?」

「スピッツは純だから」

「誰がスピッツだオラァ!?」

「だが秋田犬も捨て難いな」

「だからお前の話はちげーだろ哲!」

「やっぱりダックスかなー。よく吠えるし」

「わかるぞ、紀州犬もいい」

「やっぱわかってねーよ!」

「でも俺スピッツJr.とかでもいいと思うんだよねー」

「Jr.って何だ!」

「北海道犬も悪くない」

「哲、お前実は眠いだろ!?」


それぞれ好き勝手な発言をし続ける2人。
その間に挟まれた伊佐敷は微妙なノーコン具合に苛立ちながらも果敢にツッコみ続けていたわけだが。


「でも沢村って御幸に対しては猫なんだよねー」

「猫だったら三毛猫がいい」

「あ、そっちの意味じゃないよもちろん。純ならわかると思うけど」

「知ってるか?ジャパニーズボブテイルというらしい」

「猫なら野良猫っぽいよね」

「トラ猫もいいな」

「一度手なずけたらでろでろになっちゃうんだよ野良猫って」

「特に赤トラがいい」

「――っ、お前ら……」


ついに。


「まともなキャッチボールしろぉおおお!?」


伊佐敷は吠えたのだった。










ミスター大暴投








(純、キャッチボールなら後でしてやるから食事中は吠えるな)

(また違う!)

(そっかー、純は沢村がうらやましかったのかー)

(ちがぁああああああああう!?)











*リーダー天然。亮介わざと。純さんツッコミ。
……なんだ、これ。



100911

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