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さわむらくんとはるいちくんとふるやくんとかねまるくんととうじょうくん

*さわむらくんとはるいちくんとふるやくんに耐え切れた勇者は覚悟してお読み下さい。





「よ、金丸」

「うお!?」


夕食の乗ったトレイを持ったまま立ち尽くしていた金丸の背中にどすっと衝撃。
振り向くと、シニアからの付き合いの東条がトレイを持って立っていた。今の衝撃はどうやらトレイの角でどついたものらしい。
よく味噌汁零さねーよな、と思いながらも「ってーな」と文句を言うのは忘れない金丸である。


「飯食わねーの?」

「あーいや、ちょっと席が」

「席?お、なんだよあそこ空いてんじゃん」

「ま、待て東条!あの席はっ……!」

「沢村ー、隣いいか?」


金丸の制止も聞かず、東条は沢村の隣にトレイを置いた。


「おう!えーと……」

「東条。ったく、同級生の名前忘れんなよ」

「はい、すいやせん!」

「いや同級生だって」


苦笑と同時に白い歯を覗かせる東条。
某眼鏡捕手のそれとは異なる、なんとも爽やかなものである。


「ほら、金丸ここ」

「お、おう」


東条が席に着いたことで金丸にはもう断ることができなくなった。ここで一人逃げる、というのは東条をこの中に見捨てることになる。それだけはできない。
意外に義理堅い男、金丸。
そうして腹を括った彼は東条の隣の席に腰を下ろした。下ろしてしまった。


さて、今現在。
右から沢村、東条、金丸、沢村と向かい合わせに小湊、東条と向かい合わせに降谷というテーブル配置であるがそれはともかく。


東条がいただきますと手を合わせると、不意に沢村が「あれ?」と首を傾げて東条のおかずを覗き込んだ。


「なあ、東条のだけ肉団子1つ多くね?」

「あ、ホントだ。間違えたのかな」

「食堂のおばちゃんのサービスだったりして」

「はは、まっさかー」


春市の言葉に東条はからから笑う。
すると金丸が「……でも昔からおばちゃん受けいいよなお前」と呟き、「そんなことねーって」と東条が否定ついでに肘で小突く。
その気のおけない者同士の空気を読み、「あ、そっか。二人は同じシニアだったね」と春市。


「仲良いんだ?」

「ああ、良いよ。な、金丸」

「別に。普通だろ」

「おいおい照れんなよー」

「照れ屋だなー金丸くん」

「……やーい照れ屋ー」

「うぉ、てめ、降谷まで!」

つーん。

「つーんじゃねぇよ!」


あはは。うふふ。
憐れ金丸。あれ程嫌がっていた例のアレに既に感染したことに気付かない。
否。気付けない程の感染能力だ。


と、その中で一人会話に関わらない者がいた。沢村である。
どうやらその間も沢村はちらちら肉団子を見ていたらしい。


「……よかったら沢村、食う?」


東条が言うと、沢村はぱっと瞳を輝かせた。


「え、いいのか?」

「もちろん。ほら、あーん」


と東条は箸に摘んだ肉団子を沢村に運ぶ。
嬉しそうに口を開けて待ち構える沢村。するとと肉団子は沢村の遠投よりもぎゅうんと曲がって。



ぱく。



逆隣の金丸の口へ。


「ぬあ!」

「あはは。ひっかかったー」


東条はやーいと笑う。


「か、金丸吐けー!」

「無理だな」もぐもぐ。ごっくん。

「ああーっ!……うぅ、東条ぉ〜」

「はは、ごめんごめん」


まったく悪いとは思っていない口調。なのにどうも憎めないという謎の東条マジックを発揮され、沢村はむぅと一つ唸った。
「もう、ひどいなあ東条くんは」と、それまで笑っていた春市の箸が動いた。


「ほら栄純くんには僕からあげるよ。あーん」


と、春市が肉団子を沢村に運ぶ。
沢村は急いで口を開けてそれを口内に招き――



ぱく。



入れる前に降谷の口へ。


「ぬあああっ!」

「うわお前2度も同じ手に引っかかんなよ」


と金丸が呆れた顔をすれば「うるせー!」と沢村が睨みつける。その間に降谷は幸せそうにもくもくと咀嚼。
すると東条は「小湊、小湊」と右手を掲げた。
春市も、あ、と右手を出して、


『いえーい!』


ぱちん、と軽やかにハイタッチ。
あはは。うふふ。
聞いててこそばゆいような笑い声が上がる一方。


「お、お前らぁあ〜」


恨めしげな目付きの沢村。
黒瞳がほんのちょっぴり潤んでたりすると、それまで笑っていた4人も流石に罪悪感を感じざるを得ない。


「悪い悪い。今度はちゃんとやるって」


と東条が再び「あーん」と肉団子を運ぶ。
少し警戒しながらも、今度こそ、ぱく、と口に入った。
沢村が幸せそうに目を細めると。


「俺のもあーん」


直ぐさま春市。


「僕のもあーん……」


次に降谷。


「よし、俺のも」


さらには金丸。


「あ、じゃあ俺もう一個あーん」


次々起こるあーんコールに。


「むぐぐっ?」


沢村は口を押さえた。無理矢理口一杯詰め込まれた肉団子をなんとか飲み下す。
大好きな肉団子を味わってる余裕はない。


「……っ、そ」


ぜーぜーと息を乱しながら顔を上げた沢村は、


「――んな一気に食えるかぁあああ!」

「わー、沢村が怒ったー!」


あはは。うふふ。










そしてお約束の斜め隣の席には、


「さーて、次はお風呂に参りますぞ洋一きゅん☆」

「きゅんとかサムいぞ、一也きゅん☆」


最早いろいろ手遅れな二人の姿があった。










さわむらくんとはるいちくんとふるやくんとかねまるくんととうじょうくん










(あれ?食堂もう俺たちだけじゃん)

(……本当だ)

(なあ、飯食い終わったら沢村たちも一緒に風呂行こうぜ!)

(おう!金丸も行くよな?)

(オッケー☆……………はっ、俺は今一体……!?)











*とうじょうくんはてんねんさわやかぼーいであるとおもわれっ。
じかい、おふろへん……は、ありません。
祝、計50小ネタ達成!



101011

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あきゅろす。
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