つまりそういうことなのだろう【G*L】#(柑月様リクエスト)
ふと目を開けると、見知らぬ天井が目に入った。
――どこだ、ここ。
薄暗い中グレイはぼんやりと視線を動かして――
ぎょっとした。
女のものと思しき白い脚が目に飛び込んできたからだ。
誰だこれ、とさらに上に動かすと短いスカート。その中身まで見えそうになって――否ばっちり見てしまって、グレイは慌てて首を捻った。
淡い水色。
ルーシィだ。
人物がわかるとグレイはいろいろと思い出した。
ああそうだ。
確か昨日は――
* * *
一仕事終えた最強チームが集まるのはたいていギルドかルーシィの家だ。
ちなみに本日は後者。
今日は特別なことが起きたため、よっしゃあ酒盛りだどんどんぱふぱふ〜というノリになったとき、珍しいことにルーシィが快く会場を提供してくれたのだ。
そう、それほどまでに今日は特別なのである。
何故なら――
「それでは、最強チーム史上初の被害ゼロを祝して――乾杯!」
『かんぱーい!』
今日何度目かわからないルーシィの乾杯コールにエルザとグレイは苦笑気味に応じる。もちろんナツとハッピーは1度目と変わらぬテンションだ。
くいーっと一気にコップを空にするルーシィを案じて、「おいおい、飲み過ぎじゃねーの?」とグレイが注意を促しても、「大丈夫大丈夫。私お酒強いもーん」とルーシィはからから笑ってまともに取り合わない。
そう、この時ルーシィはすでに出来上がっていたのだ。
「それにねぇ、気もよくなるってもんよぉ〜」
言って、とろんとした目で最強チームの面々を見回す。
「毎回毎回どっかの炎馬鹿が燃やしてくれたり」
「ぐ」
「どっかの変態氷が壊してくれたり」
「う」
「妖精女王様が台なしにしてくれたり」
「ぬ」
「どっかの猫ちゃんは空気読まなかったり」
「それは言い掛かりです、あい」
「とーにーかーくー!あーんなに一生懸命お仕事してるのに家賃がギリギリなんてほんっと私ってば可哀相なのっ。おわかりかしら?ねぇ、みなさん、お・わ・か・り・か・し・らっ?」
区切れにあわせてプルーの頭をぽすぽす叩く。「プップップップップップップーン」と鳴く星霊が妙に滑稽だった。
どうやらルーシィは酒が入ってねちっこい毒吐きモードに突入しているらしい。しかし悲しいかな、それらすべては事実なので反論もできないのである。
「――ま、だからこそ〜」
と、ルーシィは新しい酒を注ぎ、続けた。
「今日は皆ご苦労様、ってこと!」
再びコップを突き出したルーシィに浮かんでいたのは満面の笑み。
ルーシィらしさ満開なそれに、グレイたちは顔を見合わせて笑った。
笑顔だけで暴言も許せてしまうくらい、最強チームは皆この笑顔に弱かったのだ。
「よし、皆飲むわよー!」
『おー!』
「ってゆーか飲めー!」
『う、うおー?』
「飲まない奴はお仕置きだからね!」
「鬼です」「悪魔だ」「ドSだな」「女王様だろ」「プーン」
ハッピー、ナツ、エルザ、グレイ、プルーがそれぞれ呟いたがルーシィはツッコまなかった。
とにかくこれ以上ない最強の笑顔でもって、
「あははは皆大好き!」
なんて壊れたように笑いながら次々皆に酒を奨めるのだった。
* * *
――……と。
グレイの記憶はそこで途絶えていた。
どうやらそのまま散々飲んで飲まされて騒いではしゃいで酔い潰れて床で寝てしまったらしい。
まあ、珍しいことではない。ただルーシィの家、という場所でやらかしたのが珍しいだけで。
辺りの暗さから見てまだ夜明けは来ていないらしい。飲みはじめたのがまだ日も落ちてない頃だったのだから、それも当然かもしれない。
のそり、とグレイは身を起こした。まだ酒が残っているらしく頭はぼんやりする。
軽く首を回せば、ナツやエルザやハッピーがそれぞれ思い思いの場所で寝入っているのが確認できた。
「……朝から全員で掃除だな、こりゃ」
部屋全体のとんでもない有様に嘆息。
とりあえずお約束のように自分が脱いでいたことを確認していると、
「んん……」
もぞもぞとルーシィが寝返りを打つのが目に入った。
寒いのかくるりと身を丸め、縮こまらせている。
グレイは苦笑して丸まっていた自分の上着を拾い上げ、ルーシィにかけてやろうとして――
手を止めた。
「………」
もぞもぞ動くたび、ルーシィの薄い布越しの乳房のかたちが変わるのをうっかり凝視してしったのだ。
うわ。無防備すぎ。
くらりと目眩のような感覚を覚えたグレイはいよいよ慌てて服をかけてやる。
こんなの、目に毒だ。
再び寝ようにも妙に興奮したためか寝付けそうにない。仕方なく寝ているルーシィの隣に腰を下ろす。
目のやり場にも困らなくなったことだし、とあどけなさの残る寝顔を見下ろした。
「こうしてると普通に可愛いんだよなぁ」
と顔にかかった金髪を指で払ってやる。
ルックスはかなり好み。性格も悪くない。ノリもいい。気も合う。好きか嫌いかでいったら、かなり好き。
なのに、どうしてもあと一歩が踏み込めない。
一度仲間というスタンスを取ってしまったせいか、それを越えるきっかけがないのだ。
「んん……」
ルーシィがまた寝返りを打つと、白い肌の中にぽつりと唯一ある桃色に指が触れた。すっかりリップクリームもおちたくせにぷっくりと柔らかいそれを指でなぞってみた。
生暖かな呼気が指先をくすぐる。
ふと。
キス、したら起きる、か?
そんなことを考えた。
何考えてんだ俺、と思いながらもグレイはそっと仰向けになったルーシィの身体を挟むように手をついた。
ドクンドクンと心音が激しくなる。
これはスリルに反応しているのか、はたまた目の前のオンナノコに反応しているのか。
どっちにしろ男としてサイテーなことだとはわかっていたが、重力に任せて少しずつ頭は下がっていく。
「――………」
触れる、寸前。
「……なに、やってんだか」
クッ、と自嘲気味に笑う。
“仲間”にこんなことするなんて、酔っている証拠だ。
心の中で身体の下の少女に詫びながら身を起こそうとした、その時。
ぱちりと長い瞼が持ち上がった。
『………』
目が、合った。
さーっと血の気が引いたかと思うと、ぶわわっと汗が噴き出す。
この状況は、まずい。言い訳がきかない。
ごくり、と喉を鳴らす。
「ご」
ごめんなさいすみません魔がさしましたもうしません。
なんて飛び下がって平伏して謝ろうとしたが、それは許されなかった。
「――だぁめ」
「へ?」
ふにゃ、と笑ったルーシィの腕がいきなり、グレイの首に絡み付いたのだ。
困惑するグレイの頭をさらに引き寄せたルーシィはその豊かな胸にそれを導いた。
「!?」
何だこの状況。
むにゅにゅんというなんとも言えない至極の拷問を顔面に受けながらグレイは身を強張らせた。
こ、これはまずい。非常によくない状況だ。
なんだ。あれか、俺は試されているのか。
理性総動員で抗い難いホールドを解こうと思って、思わず手を動かしたのが悪かった。
「んやぁっ……」
ぴくん、とルーシィの身体が跳ねる。
うっかり太ももを掴んでしまった。しかも、ほんのちょっと内側寄り。
なまめかしい声に、ごくり、と喉を鳴らして慌てて頭を振るグレイ。
いかんいかんいかん。ここで盛る、とか、おっぱじめる、とかいかんいかん。
エルザたちも居るし。それは流石に人間としてないだろ。ない。てかそーゆー関係でもねーしいかん。
ぐちゃぐちゃ考えながらグレイは腕だけでなく膝でもルーシィを挟む体勢を取る。そのほうが踏ん張れて、無理矢理胸に抱き寄せようとする攻撃を回避できるからだ。
そうしてなんとか身体は離れたのに、華奢な腕はますます強く絡みついてくる。
――さ、誘ってんのかちくしょぉおおお!
ルーシィからかグレイからか、むせ返るような酒の匂い。甘い甘い匂い。
くらりときた。酔いそうだ。つかまだ酔ってるのか俺もルーシィも。
「くっ……ルーシィ、ほら、離せって」
「うぅ?」
優しく促してグレイが腕を解こうとすると。
うっすら潤んだ鳶色の瞳が懇願するように俺を捕らえた。
「だ、めぇ」
「…………………」
それはだめなのいいのどっちなの。
「あー……」
一瞬脱力したらしく、再び引き寄せられてバランスを崩す。
そこまできたら、駄目だった。
もうどうにでもなれぇええ、と思って。
ずっと気になっていた唇に貪りついた。
「んっ……」
唇を滑らせてほっそりした顎のラインを舌でなぞると甘い吐息が漏れた。
酒と汗の混ざったような匂いはこの上なく甘い。
そういえば昨日はグレイもルーシィも風呂に入ってなかった。
でもむしろいいかも、とグレイは思った。ナツの馬鹿じゃないが、今日のルーシィの匂いはどこまでも甘くて煽られる。
眠いのか、再び瞼を下ろしたルーシィの腕はまだグレイの首に絡んだままだ。
少し邪魔だったがこの腕が離れた時はやめようと思っている。絶対一応たぶんきっとそうするできる気がするできるといいな。
グレイは己に言い聞かせた。
首筋に唇を落としながらキャミソールの紐をずらす。
誘惑が目に入らないようにと先程グレイのかけてやった服はもう意味をなさない。払いのけて、唇で鎖骨をなぞって、キャミソールと下着を一気に剥いた。
常に存在を主張しているふたつの小山は、驚くほど白かった。
思わず見惚れたグレイが次に覚えたのは、本物だったのか、という感動だった。
今まで、あまりの大きさに少しはパットか何か入れてるのかと疑った時期もあったグレイである。
だが、認めよう。
これは、紛れも無い本物だ。後で気にしてたマックスの野郎に教えてやろう。いや、なんでわかったかきかれたら面倒だからやっぱやーめた。
そんな余計なことを考えながら(グレイは酔っている)、形のよい乳房を手で直接触る。布越しとはまったく違う、吸い付くような触り心地。掌に収めきれないその尖端はちょっと冷えている。
「ひぁっ……」
強く触りすぎたのか、ぴくん、と身体が跳ねた。
「……ルーシィ?」
「う〜?」
再びとろりと目が開いたかと思うと、微かに身を起こしてグレイにしがみついてくる。恥ずかしいのか、甘えるように擦り寄って、譫言のように「だめ、だめ」を繰り返す。
うっわ可愛いなちくしょう。
グレイの背筋がぞわぞわした。
生の乳が当たるのとかそういうのは置いといて、すごく柔らかいのは置いといて、尖端だけやっぱり冷たいのは置いといて、甘えるのとかはたまらなく可愛いのである。
「…………」
そのあまりの可愛さに、ここまできて漸くグレイは罪悪感を覚えた。
ルーシィに誘われるがまま好き放題やってしまったが、これでいいのだろうか、と。
まだグレイは何もルーシィに伝えていない。
これは、ずるいだろ。
「……ルーシィ、ちょっと」
「ふえ?」
なだめるように髪を撫でてやりながら、ゆっくりルーシィの身を起こさせた。
向かい合うように座り、自分が下にずらしたキャミソールを直してやった。
ルーシィの潤んだ鳶色の瞳が、不思議そうにその光景を見ている。
「ルーシィ」
やり直したい、と思った。
どうせなら、最初から。
エルザもナツもハッピーも居るけど、今は居ないことにしたうえで。
告白して、キスして。
ちゃんと順番に。
「――今更だけど、俺」
「だめ」
「え」
まだ何も言ってねーよ、とグレイが言う前に。
「よるは、ねなきゃ、だめ」
「……は?」
「だめなんだよ、プルー」
「………」
……………………プ、ルー?
「ほら、いいこだから、ねんねっ」
「うおっ?」
とどこか舌ったらずに告げると、またグレイをぎゅうっと抱き寄せた。
甘ったるい感触に再度頬を埋め、こてり、と床に引き倒される。
「…………」
くーくーと可愛らしい寝息を聞きながら、ああ、とグレイは思った。
そういやぁルーシィはよく愛玩星霊を乳に埋めてたっけなー。
「うへへ、プルーだめなのぉー」
「…………」
つまり、あれか。
ルーシィさんは、かなり酔ってるわけか。
俺が、プルーに見えるくらい。
「だーめーなーのぉー」
「…………プーン」
それが負け犬の最後の鳴き声だった。
―――つまりそういうことなのだろう
* * * *
微エロ?微エロすよ冒頭のぱんちらとか超Rー15じゃねすか。ぱねぇすよグレルー。
というわけで、今日のための906アンケートご協力くださった皆さんありがとうございました。
そして超細かに書いて下さった柑月様、リクエストを採用させていただきました。ありがとうございました。
てかこんな可哀相なグレイがラストグレルーでいいのか……?うううそんなん無理だよちくしょう!また書くっ!
100906
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