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When I'm standin' up on the rapist's side how can I put myself down?【N*G*R*L】(ちこ様ネタ提供)


「――ったーい」


日記を書いていたルーシィが小さく声を上げると、ベッドで暇そうにうだうだしていたナツが「お、どうした?」と顔を上げる。
ルーシィの隣ではグレイがルーシィの本を読んでいて、やはりチラリと視線だけを上げていたが、続きが気になったのか再び本に視線を落とした。
今日はナツとグレイがルーシィの部屋にたまりに来ていたのだ(もちろん不法侵入されたので、肘鉄を顔面にぶちかましてやったが)。


「うぅ、紙で指切ったー」


ほら見てーとルーシィが同情を求めて指を歩み寄ってきたナツに向けると、


「ふーん、どれ」
「え」


ひょい、と何食わぬ顔をして手首を掴んだナツは、「あむ」とその指を口にくわえた。


「あは、あはは!くすぐったいわよ、もう!」


舌先で傷口をなぞられたルーシィは身をよじって笑う。
その笑い声を聞きながらしばらく舐めて、最後にちゅっと吸えば「うひゃ」と上がるルーシィの声。口を離したナツは、何故か思いきり渋面をつくった。


「うっわー色気ねー声」
「はぁ!?」
「あい……女として残念です」
「るさいっ!」


ベッドからしたハッピーの寝言にずばっとツッコむ。ナツとごろごろしている間に青い猫だけ寝てしまったのだ。
怒ったルーシィはナツにそっぽを向く勢いでグレイに向き直った。


「ねぇグレイ、そんなことないわよねっ?」
「んー?」


いいところで邪魔されたグレイが活字から顔を上げる。


「だから色気よ。私ちゃんとあるでしょう?」
「色気……」


ほらほら、と胸を強調するあっはーんなポーズを取ってみせるルーシィをまじまじと見たグレイは、


「――……今は可愛いからいいじゃねぇか」


生暖かく苦笑して、ぽん、と頭に手をやった。


「……ふーん……遠回しに今は色気ないって言いたいんだー」
「………」
「いやんもうグレイってばぁン、ちゃんとこっち見て〜ン?」
「いてててて背中つねんな!」


猫撫で声でぎゅむぅとあさっての方に視線を泳がせたグレイの背中を抓る。もちろん無駄な肉なんてものがないので皮を(そこもまた腹立たしいのでさらにぎゅむむう)。
すると、


「ルーシィ、怪我したんだって?」


どこからともなくスーツ姿の星霊が現れた。


「うわ、ロキ」
「うわ、って何その反応」


露骨に嫌そうな顔をしたルーシィに、傷付くな〜とばかりに苦笑。グレイは特に何も言わない。
唯一人「よ、ロキ久しぶり!」と歓迎してくれたナツに、ロキはひらりと手を振った。


「ってゆーか星霊界に居たアンタがなんで知ってんのよ」
「ルーシィのことなら何でも知ってるさ」
「人はそれをストーカーと呼ぶ」
「あはは、グレイ今いいこと言ったー」


と笑ってるルーシィの手を取って傷口を確認するロキ。
そのまま何気なく。
白い指先に入った一筋の傷に口を近付けて――


「ぎええええええええい!?」


どこの怪鳥だ、みたいな声を上げたルーシィは手を引き椅子を蹴って立ち上がる。
そのままロキの頭に、ガンッ、と上から拳を落とした。


「ななな何すんのよ!」


ぷしゅぅ〜と煙を出す頭をさするロキはサングラス越しに非難めいた目をして、「えー?ナツと同じことだよー」と口を尖らせる。


「アンタはせんでいい!」
「なんで?」
「アアアアンタのはややややらしいのよっ!」


ルーシィは慌てて傷のある手を背中に隠した。
ただ舐めるという行為だというのに、ロキのそれはナツと全然違う。雰囲気だったりとか舌の出し方だったりとか、その他もろもろがアダルティすぎて大問題なのだ。


「じゃあ、僕を犬だとでも思ってよ」
「犬?」
「そ。大型犬――ゴールデンレトリバー的な?」
「的なって……」


アンタにプライドはないのか、と言いたくなるようなへにょにょん犬スマイルでもって、床にわんこのようにおすわり。
そのままうやうやしくルーシィの手を取るロキに、今度のルーシィは無表情に言ってやった。


「――いいの?今舐めたらナツと間接キスよ」


ピタ、とロキの動きが止まる。
女好きのロキにはそんなこと耐えられないだろうと踏んだのだ。
勝ったわ、とニヤリとしたら。


「ひゃんっ?」


ぺろり、と傷とは全然関係ない掌を舐められた。
ぞわわ、とナツの時とは違うくすぐったさが背中を這い上がる。
びっくりして引こうとしたその手を捕らえたロキは再び舌を這わせる。指の間まで丹念に。


「ちょ、ふわっ……なななに卑猥なことしてっ……!」


次の瞬間。


「わん♪」
「え?え?なななななになになに!?」


ルーシィは更に裏返った悲鳴をあげる。
ロキが大型犬よろしくルーシィに抱き着いた――否、飛び付いたのだ。
華奢な身体に長い腕を回し、がっちり固定。あわあわするルーシィの逃げ場を奪う。


――悲しいかな、ルーシィは知らなかったのである。
犬は音や声で興奮する生き物だということを。特に、子供や女性の高い声には過敏に反応するということを。


「えっ?えっ?……ひゃうっ」


抱きしめられた(?)混乱に乗じて耳をぺろりとやられた。
一瞬力が抜けたのを見計らい、調子に乗ったロキはさらに首筋を生暖かい舌でぺろぺろぺろぺろ。


「ぎゃあああああああ!?」


今度は怪獣みたいな声を上げて暴れ狂うが、最強の星霊に腕までがっしり押さえ込まれては流石のルーシィも、拳やさらには必殺の足までも繰り出せない。


「ぐぐぐグレイ、ナツ!止めて止めて止めてっ!」
「いやー今日は犬だって本人……いや本犬が」
「ああ、まごうことなき犬だなー」
「わん♪」
「わわわわんじゃないでしょぉおお!?」


ぺろぺろぺろぺろ。孤立無援となったルーシィを好き勝手に舐め回すロキ。
もしロキに少しでも発情期のオスのような激しさや嫌らしさがあれば流石にグレイもナツも止めに入ったことだろう。
だが、ロキ犬はただじゃれているだけ。尻尾があったらわっさわっさ振りまくってるというような無邪気な笑顔がそれを証明しているのだ。


「ぎゃ、あンッ、だだだ駄目……!うへ、やっ、あっ……」


相変わらず色気のないルーシィの声の中に、少しずつ甲高い裏声が混じり始める。
唇だけはがむしゃらに死守しているものの、鎖骨から上をめちゃくちゃに舐め回されたルーシィからは力が抜け、ロキを押し返すこともできない……はずだった。


「だ、駄目ってぇ……」


ルーシィはなんとか隙間から腕を捩込み、襟首を掴むことに成功した。
そのまま右足をロキの右足に掛ける。


「言ってるでしょおおおお!?」


紫電一閃。
勢いよく足を刈り取った。ロキの身体が空中に跳ね上がる。
完璧な大外刈りが決まった――かに思われた。


が。


「わん♪」
「んなっ!?」


ロキは倒れなかった。
空中で身を捻り、驚異のバランス感覚(そこは無駄に猫科)で姿勢を取り直す。足から着地した次の瞬間には床を蹴り、姑息な左右へのフェイントを交えてルーシィ自慢の脚に腕を巻き付ける。


「な、やややめなさいっ!こらっ!この駄犬!」
「わんわわん♪」
「駄犬って呼ばれて喜ぶんじゃ……ふぎゃあああ!」


ぺろり、と膝を舐められ、ぞわわ、と鳥肌が立つ。
引きはがそうと髪を引っ張るが、腕がしっかり絡んで剥がれない。パンツが見えるのを承知で空いたもう一方の足でロキの頭に踏み抜くような蹴りを加えたがそれでも無理。


――ルーシィは知らなかった。
一度調子に乗った馬鹿犬のしつこさは、大の男でも手に負えないものなのだと。


「ああン……!!?」


ぺろ、と内股を舐められた瞬間、ルーシィのものとは思えぬとんでもない声が漏れた。
びっくりして慌てて口を覆うルーシィ。
ここぞとばかりに、ロキは滑らかな肌を舌でもって、下から上へ這い上る。


「っ……ふあっ……んぅっ」


口や鼻から漏れるのは甘い声。自分のものではないみたいに感じられるそれに羞恥心が掻き立てられ、さらには口を塞いだ息苦しさも相俟ってルーシィの顔はみるみる紅潮する。
力が抜け、かく、と膝が折れそうになるのをロキが絡めた腕で無理矢理立たせてさらにぺろぺろ。


「は……ふ……ぁっ……!」


ヤバイ。段々わけわからなくなってきた――
冷静な判断力を失ったルーシィはロキを引きはがすよりも、両手でもって懸命に口を覆うことに徹することにした。
なのに、


「っ……んやっ、んっ……あぅんっ」


鼻から抜ける甘い声は高まるばかり。
それでもロキにはルーシィの反応を楽しむだとかそんな嫌らしい素振りはない。
へにょーんと屈託のない犬スマイル全開で、ルーシィのイイトコを丁寧に攻め立てるのだ。


「ぅ……ふぅう……」


スカート分の面積を避け、いつの間にか腰周りにたどり着いていたロキの舌。ふともも周りに腕を巻き付け、チューブトップから覗く可愛いヘソの周り、さらには脇腹までしつこくべろぺろ。


「〜〜〜あっ……」


そこでついにルーシィの口を覆う手が外れた。
息継ぎが間に合わなかったのだ。


「ひっ……」


ロキの舌がつつつつと筋に沿って背中を這ったその瞬間。


「ひぁあああああああんっ!?」


ルーシィは身体をのけ反らせ、高らかに嬌声を放った。






* * *





『………………………』


――……色っぽかった。
あのルーシィが、超色っぽかった。


一通りの行為を見せつけられたナツとグレイは椅子や床に座り込んだまま微妙に頬を染め、そわそわとあちらこちらに視線を泳がせながら小刻みに貧乏揺すり。男の諸事情というやつである。
やがて、くったりとしたルーシィの身体を抱き留めたロキの纏う空気が変わった。
犬から星霊へ。馬鹿犬から男へ。


ナツとグレイはある種の崇拝のこもった目でもってその背中を見る。
ロキ――いや、巨匠はへにょにょん笑顔のまま首だけ二人を振り向き、


「鳴かぬなら――」


くい、とサングラスを中指で押し上げた。


「鳴かせてみせようホトトギス」
『ホトトギスー!?』



ずぎゃぎゃーん。



雷のような衝撃が二人を打ち抜いたのだった。










――When I'm standin' up on the rapist's side how can I put myself down?
(強姦をする側にいて立っている自分をいかに否定しようか)










そんな愚か者どもの叫びを聞きながら。


「………」


とりあえず、コイツら全員殺ス。
巨匠の腕の中で息を調えていたルーシィは腰だめに拳を構えた。




鳩尾に第一撃発射まで、あと3秒。













* * *
4月某日ぴよぴよ期。ちこさんの日記を読んだ瞬間、これだー!ってなりまして、その場で許可をいただきました。もうこのネタ使用許可をいただいた時点で最高の誕生日プレゼントだと思ってました。
ナツは殺してしまえ、グレイは鳴くまで待とう、ロキは鳴かせてみよう。
三大武将夢の共演。うん、何か違うと思いました。まる。
本当は擬音にはぴちゃぴちゃぬるぬるれろれろとか使いたかったのですがあまりに卑猥になるのでぺろぺろで可愛く押し通すという強行っぷり。
なんだかイメージと違いそうですね……。こんなのになってしまいすみませんでした;
でも、超楽しかったです☆

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あきゅろす。
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