「おれがこんなにも愛しているのに!!」【G*L】
「なんかグレイってお兄ちゃんみたい」
「………」
唐突に、ルーシィはそんなことを言ってきた。
グレイがちょっとふざけ混じりでルーシィの頭を撫でてやったら、唐突に。
彼女に悪意なんてものはこれっぽっちもないのだろう。だがグレイには苦い話。顔は自然と引き攣るわけで。
そんなグレイには気付かずに「そしたらエルザはお姉ちゃんかな?」とルーシィは続け、
「私、一人っ子だから嬉しいなぁ」
なんてとろけるみたいに笑う。さすが小説家志望だけあって、妄想しているときの彼女は楽しそうだ。
グレイはさらさらした髪から手をどかし、
「……ナツ、は?」
ときいてみる。
ルーシィは乱れた髪を直しながら、「んー、出来の悪い弟?」と返した。
「――ふうん」
まあ、弟よりは兄のほうがマシか。
なんて心中で呟いて、それでもやはり深い嘆息。
するとルーシィは眉を寄せて身を乗り出す。
「何よ。こんな可愛い妹なのに文句あるの?」
「あー自分で可愛いとかいう痛い妹は遠慮してぇな」
「い、痛いですって!?」
「痛い」
「しかも二度も!?私だってすぐ脱ぐような変態のお兄ちゃんで我慢してあげてるのよ?」
「頼んでねーよ」
「まあ、なんてこと言うのかしら!」
「おぉ、言いますとも」
「んもうグレイったら反抗期なんだからっ」
「……お母さん?」
というツッコミは完璧スルー。
フイ、とそっぽを向くルーシィ。
頬杖をついたそこに、拗ねた横顔。幼く尖らせた唇。
グレイは思わず苦笑してしまう。
ああもう、ホント。こういうところが――
「嘘」
言って、グレイはルーシィの頭を再び撫でる。
今度は優しく、恋人がするみたいに。
「嬉しいぜ、こんな可愛い妹がいたら」
そうして甘く囁く。
機嫌直せよ、と。
指先で、髪にキスをするように弄びながら。
途端にルーシィは頬を赤く染めた。
「グレイ……」
「ん?」
ルーシィはちらりと潤んだ瞳でグレイを見て。
恥ずかしそうに、言った。
「私、グレイがお兄ちゃんだったら絶対お兄ちゃんっコだと思う」
「………」
――――「おれがこんなにも愛しているのに!!」
まあ……いいけどな………。
* * *
まず頭に『ドラえもん35巻に書いてある』をつけてドラえもん短歌(遠藤しな)。
秘技寝起き1時間書き!グレルーでジャイアンとジャイ子的な話でした。嘘ぷー。
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