Memo>>Short*DogーRL(100608〜100702)
*Memoに公開した犬ロキルーの話です(未公開含)
100608>>忠犬ロキ公+某ヒットマン漫画放置プレイネタ
「――開け、獅子宮の扉!」
久しぶりに星霊界で過ごしていた僕の目の前で“扉”が開かれる気配がする。
それはオーナーからの呼び出しの合図。この“扉”をくぐれば大好きなオーナーの元へ通じているのだ。
まったく呼び出されず顔さえ合わせなくなってから、2ヶ月と11日と7時間。
ついに……ついにルーシィのほうから……!
……いやでも僕は出ないぞ。そうひょいひょい呼び出されてなんかやらないぞ。
こんなに長期ほったらかしにされたんだ。絶対出てやるもんか。
そうだ、この1回は無視してバルゴに代わりを頼んでみよう。
またデートってことにしてもらって、僕がどんなにモテてるのか、暇じゃないのかってことをわかってもらおうじゃないか。
それでいっつもつれない彼女は、僕への想いを募らせればいいんだ。
「………」
だからガマン。
この1回は、ガマン。
ガマンガマン。
ガマンガマンガマンガマンガマン……
「――王子様登場ー!」
できませんでしたっ。
(でも1秒53は最高記録!)
「やあルーシィ、久しぶりだね。あれ?ちょっと髪のびた?でも相変わらず可愛いよ」
「いいから闘って!」
「今日のリボンはピンクなんだ。あ、もしかして僕のために新しいのにしたのかな?」
「だから今戦闘中だって、コラ!」
「ああ怒った顔もすごく可愛い!でも僕は君の笑顔が見たいな……な・ん・て・ね☆」
「たーたーかーえー!」
100609>>スーパー没ネタ*21巻の後ネチネチネチネチ精神的SM(途中まで)【RL】
ああどうしよう。
大変なことになってしまったぞ。
この上なく、大変なことに。
怒らせてはいけない人を怒らせてしまったようです……犬。(←タイトル)
「………」
椅子に腰を下ろしたルーシィの前で、ロキはじっと立ち尽くしていた。
端から見れば立たされているようにも思えるだろう。
しかし違う。
ルーシィには“何も言われてない”。
いやそれどころか、呼び出されたきり“何もされてない”。
「………」
ぞっとするほどの静寂。張り詰める空気。
カチコチと、やけに時計の針の音が大きく聞こえるルーシィの部屋。
「あ、あのー……」
この空気を壊すには相当な勇気が必要だった。あまりの緊張感に肌がひりつく。
それでもロキは壊さねばならなかった。
今後の主との関係のために。
「あ、あのさ、ルーシィ、あの時はその……ごめん」
「………」
「ま、まさかあの日に呼ばれるとは思ってなかったから、その、つい……」
どんなに言い訳じみたことになろうと伝えなくてはならない。
主の危機をすっぽかした理由をこの口から。
どうしても。
だが。
「………」
ルーシィは、無視。
「うぅ」とロキは情けない声で鳴き、だがめげずに、いつか心に届くことを祈って言い訳を始めることにした。
「あ、あれはさ、不可抗力というかタイミングが悪かっただけなんだ。普段は別にそうしょっちゅうデートとか」
「………」
「いや、デートって言ってももちろんただちょっと遊びに行っただけで、そういうことはないんだよ?だって僕の本命はいつだってルーシィだし?」
「………」
「だからその浮気とかそういうわけじゃなくて」
「………」
無視。
「………もももしもーし」
サジタリウスの真似をしてみる。
「……………」
とどめとばかりに、無視。
ロキはへにょりと眉を下げ、情けない面になった。
どうしよう。ルーシィがこっちを見てもくれない。
これはもう許してもらえないのだろうか。
“ルーシィのピンチにさっそうと現れるさしずめ白馬の王子様役ってとこかな”
“僕はいつでも助けにくるから”
そんな調子のいいことばかり言って、大事なときにすっぽかしたから。
力になるって、“約束”したのに。
――あ。
その時、ロキの胸にある推測が浮かんだ。
ルーシィは“約束”を大切にする。だったらきっと、言い訳なんかより、ごめん、なんかより欲しい言葉があるはずだ。
漸くそこにたどり着いたロキは慌てて床に膝を付いた。
そして、
「――ルーシィ、本当にごめん!ピンチの時はいつでも現れる“約束”を破った僕が悪いんだ!犬って呼んで詰ってくれていいから!」
「………」
「もうあの時みたいな真似は二度としません!――“約束”する!」
恥も外聞も捨てて平伏。
大の男が、最強の星霊が、黄道十二門のリーダーが(あとでアクエリアスには睨まれるだろうが)、土下座したのである。
すると。
「――ねぇ」
「! な、何っ?」
ロキは目を輝かせて顔を上げた。
今日初めてルーシィから声をかけてもらえたのだ。久しぶりに聞く大好きな主人の声に犬のように嬉しくなって当然。
しかし、つい、と流された鳶色の瞳はロキではなく、ルーシィの手元の爪へ落とされた。
「犬なら犬語使えばぁ?」
「へ……?」
ギシ、と音を立てて固まるロキ。
爪の形が気になるのか、角度を変えて眺めながらルーシィは続ける。
「私ぃ、犬には人間の言葉使う権利ないと思うのよねぇ?」
「え……」
「だって犬なんでしょぉ?」
いつもハキハキ喋るルーシィの語尾がのびただけでぞっとするほど酷薄に感じられるのは何故だろう。
従うしかない。これは従うしかないぞ。本能がそう告げた。
ロキはゴクリと喉を鳴らし、そして、
「わ………わん」
なけなしのプライドを捨てた。
なのに、
「は?アンタ何言ってんの?」
「え、何って……」
「犬はプーンでしょ?」
「いやそれはプルーじゃん」
「“じゃん”?」
「そ、それはプルーです、わん」
「プーンでしょ?」
「……プ、プーン」
「そうよ。今からアンタの言葉はそれだけ。他の言葉を話す資格はないと思いなさい」
「プーン……」
淡々と命じるルーシィはやはり爪ばかりが気になるようで、ロキを見もしなかった。
これは辛い。せめて視線で冷ややかに刺してくれたりなんかすればまだ行動の取りようがあるものを。
(*強制終了*)
100702>>犬ロキルー(歌海ねこさんに捧げ物)*未公開
チチチチと鳥の囀る声が耳をくすぐる。カーテンの隙間から漏れる陽光、朝の匂い。
ルーシィはゆるりと目を覚ました。
とはいえ未だ意識は半分夢の中。目は閉じたまま、ふにゃふにゃとベッドの中でゆっくり身体を動かしながら、身体と脳の覚醒を待つ。
そこまでは、いつもの朝だったのだが。
「――おはようルーシィ」
「………んー?おは……」
と、応えたところで違和感。
まどろみながらなんとか瞼を持ち上げた瞬間、焦点の合わない瞳が捕らえたのは。
「起きた?」
「………」
光り輝く、へにょにょん、と犬のような笑顔。
しかも。
かなりの至近距離。
「――うっ……」
覚醒。
離れていくそれを追うように、反射的に頭の下のものを手に取った。
「……っぎゃああああああああ!?」
「あはは朝から元気だねー」
バフン、と全力投球された枕が顔面に減り込む。
それでもへにょにょーんと幸せそうに頬を緩ませる星霊。
「ななな何乙女の寝込み襲ってんのよっ!?」
どう考えてもルーシィにその星霊――ロキを呼び出した記憶なんてない。
身を起こしたルーシィは咄嗟にタオルケットを胸元に引き寄せた。もちろん服は着ているのだが、なんとなく何かに縋り付きたくなったのだ。
「襲ってないよ。起こしに来ただけ」
「だからって勝手に部屋に出てきていいって誰が言った!?」
「星霊王が」
「嘘おっしゃい!」
「本当さ。オールタイム契約した星霊たるもの、いついかなるときも主の傍を離れるなって」
「せ、星霊王がそんなことを……?」
「言ったらいいのにね」
「希望!?」
どれほどルーシィがピリピリしても、ロキはケロリとどこ吹く風。そんな態度になんだか怒る気も削がれる。
というか、寝起きのルーシィにいつものテンションは保てない。
ルーシィは、はあ〜、と嘆息して、「もうやっちゃ駄目だからね」とやんわり注意して終わった。
はずだったのだが。
「ねぇルーシィ、今日は天気がいいよ」
「へ?ああ、そうね」
言われて、今更ながら寝癖を気にしはじめたルーシィは、髪を手櫛で整えながら窓を見た。
カーテンを開けてみれば、実際外は明るく気持ちのいい青空が広がっている。気温もこの時間にしては高く、さらに暖かくなりそうだ。
「それでさ」という声で再びロキに視線を戻す。
「――散歩、行かない?」
「へ?」
誘いの言葉に、サングラスの下でいい返事を期待するように輝く目。
まあ、そこまではいい。
しかしそこに付随するようにふっさりした三角耳にわっさわっさと左右に振られる尻尾まで見えてしまって……あらやだわ私ったらまーだ寝ぼけてるのかしらオホホホホ。
少々混乱気味のルーシィがぐしぐしと目をこすっていると、
「ねぇ、行こうよ」
「うわわ近い近い近い近い近い!」
再びロキの無駄な接近。ルーシィは全力で押し返して引きはがす。
それでもめげずに、ねぇねぇ行こうよぅ、とまるでどっかの何かのようにおねだりしてくる、最強の獅子宮……のはずの彼。
そういえばここ何日かちゃんとかまってやってなかったわね、なんて気づいたらさあ大変。
あらやだ私ったらまるで駄目飼い主じゃない?てか飼い主って何?星霊はペットじゃないって!
あわわわわ。
やはり寝ぼけているのか変な思考がぐるぐるループ。
ルーシィは頭を抱えて唸る。その間ロキはちょっと落ち着いたようで、身を離しながら、それでもやっぱり期待した目でくーん……ってだから私何考えてんのかしら大丈夫かしらオホホ。
「ねぇ、駄目?」
いい大人の姿を取ったいい星霊が、小首を傾ぐ可愛い仕種。
普段なら「はいはい」でスルーできてしまうのに、一度消えたはずの三角耳とわっさわっさと振られる尻尾の幻が再び見えはじめてしまったらもう駄目だ。
「……もー、仕方ないわねぇ」
今朝の私はどうかしてるわ、とルーシィは嘆息した。
「近くの公園までよ?」
「――うん」
ロキはへにょにょんと笑った。
そんなの見せられたら何も文句なんて言えないルーシィは、小さく苦笑してぐいっと伸び上がる。
まずはシャワー浴びて支度して朝ごはん食べて――とこの後の具体的なアクションを頭に描いて。
「………」
そこで、珍しく“いい子”にルーシィを待つロキに再び視線をやる。
何?と目が合うだけでたまらなく嬉しそうなロキをじいっと見て。
ルーシィは、言った。
「フリスビーとか、する?」
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