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無理してる【R*L】↓
*Novelロキルー連載FGHIの後に読むと二人の関係がよくわかります。






夜は二人の特別な時間だ。
長い1日の後帰宅したルーシィが風呂から上がり、ベッドに入るまでの2時間弱の間。
彼はルーシィに会いに来る。


ただし、毎晩というわけではない。
ルーシィが小説を書く時間を取ることもちゃんと考えてくれている。
だから、毎晩ではないが。


「やあ、ルーシィいい夜だね」


こうして会いに来てくれる。
なんとなく、今日は来てくれる気がしていたルーシィは、


「――いらっしゃい、ロキ」


はにかむように笑って彼を迎えた。




* * *




「なんで最近寝る前までそんな格好してるの?」
「え……」


ロキはお茶の準備をしながら何気なく訊いた。相変わらずロキのいれてくれる紅茶は美味しいので、ルーシィはいつも任せてしまうのだ(戦闘用星霊の間違った使い方2継続中)。


予想だにしていなかった質問にルーシィは一瞬言葉に詰まった。
確かに寝る前のルーシィはいつもジャージ素材のハーフパンツやショートパンツに、Tシャツやタンクトップといった、色気のないラフな格好だった。
だがここ最近は寝る前までミニスカートにキャミソールやチューブトップ。髪の毛までは流石にセットはしてないものの、昼間のルーシィっぽい、がっちり気合いを入れた格好だ。


「へ、変、かな?」
「そんなことないよ。可愛い」
「本当っ?」


ロキに褒められたルーシィはえへへと照れるように笑った。
それから、「だってね」とテーブルの下でもじもじと膝を擦り合わせ、


「す、好きな人の前では、可愛くしてたいし……」


なんて言って、ちらりとロキを見ると。


「………………」


限りなく虚ろな笑みを浮かべる星霊。
あっれー?とルーシィは内心首を傾げた。「ありがとう、嬉しいよルーシィ」とか「僕は幸せものだなぁあっはっはっ☆」とかそういうロキっぽい(?)返答を期待していたのに。
ちょっと不服げに頬を膨らませたルーシィが「おーい、ロキー?」と手をひらひらさせる。
すると、


「……ああ、ごめん」


ロキは苦笑して、新しい紅茶を準備し始めた。


「今プルーと星霊界の白浜で追いかけっこしてたよ」
「………どこからツッコんでいいのかわからないんだけど」


なんで今プルー?とか星霊界に白浜なんてあるの?とかやっぱりなんでプルー?とか。
ツッコミ所が多過ぎるんですけど、とルーシィは拗ねたように唇を尖らせた。
「とりあえず」ロキは苦笑した。


「さっきの発言は今夜のおかずにします」
「……ねぇロキ、確かにそういうの仕方ないとは言ったけどいちいち報告されても困るわ」
「しないでしていいの?」
「う……それもまた微妙……」
「ルーシィは我が儘だなぁ」
「我が儘とかそういう問題じゃないでしょ?」


大体こんなに可愛い恋人がいるのにわざわざ一人で〜とかどーなの。それは普通なのかしらどーなのかしら。
まあ恋人以外をおかずにするわけじゃないからその点はまだいいんだろうけど。いややっぱりいいのかしらどーなのかしらこれって健全なのかしらっ?


「はいルーシィ」


悶々とするルーシィに煎れ直した紅茶を差し出したロキは優しくへにょにょんと微笑む。
ルーシィは「ありがとう」とつられるように微笑み返しながら、なんだかごまかされた気もしていた。
ふとロキのカップを見る。ルーシィが2杯目(ロキの淹れた紅茶なら何杯でもいけてしまう)なのに対して、ロキの紅茶はまだ少ししか減っていない。


「そういえばロキって紅茶飲むの遅いわよね」
「そうかな」
「……もしかして猫舌?」
「………」


ロキは無言で目を逸らした。


「あー、やっぱり!ふふ、可愛い〜」
「可愛いって……」


複雑そうに苦笑する。
男が言われても微妙だ。


「あ、ちょっと。そこは『可愛いのはルーシィだよ☆』くらい返しなさいよロキなんだから」
「えー僕ってどんな目で見られてるわけ?」
「たらしのエキスパート」
「……それ褒めてる?」
「褒めてる褒めてる超褒めてる」
「じゃあ可愛いのはルーシィだよ」
「じゃあとか付けないの。はい言い直し」
「か、可愛いのはルーシィだよ」
「んー。まあよろしい」


ルーシィが頷くと、ロキは「あはは偉そうだなぁ」と声を上げてへにょにょんと蕩けそうに笑った。
それから、


「ルーシィ」
「え?」
「好きだよ」
「!」


ずがーんと不意打ちクラッシュ。
ルーシィは真っ赤になって、顔を伏せた。
そそそこまで言えなんて言ってないわよ、だの、やっぱりアンタはロキだわ超ロキだわ、だの、ぶつぶつ言いながらもふにゃふにゃ緩む頬は抑えきれない。


嬉しいよ。幸せだよ。
だって私もロキのこと大好きだもん。
とかは流石に言えないって恥ずかしいなぁもうにはははは〜。


以前と何ら変わらぬじゃれあいに、ほんのちょっとの恋仲めいたスパイス。そんなふうにいつもの秘密のデートはほのぼのと流れる。
それが、ルーシィとロキだけの時間。


しばらく談笑して。
ふ、とロキは壁に掛けられた時計に視線をやった。


「じゃあそろそろ帰るよ」
「え………もう?」
「うん。ルーシィも早く寝ないとね」
「で、でも」
「僕ルーシィの肌荒れるのやだなー」
「むむむ」


言われて時計を睨むと、時計の針は二つ揃って真上を指している。そろそろ寝なくては美容に悪いのも確かだ。


それでも、たまには朝まで、とかそういうのあったっていいんじゃないかしらとも思うのだ。
そう、朝までべべべベッドでとか、そういうのアリかも?アリじゃない?アリだわね?
だってこここ恋人だもんねっ?
なんてピンクのふわわ〜んなことを考えているルーシィを理解してかしないでか、ロキは困ったように笑った。


「ルーシィ」


呼んで、そっとルーシィの顔を上げさせた。
はっとして目を瞑るルーシィに。


「おやすみ」


ちゅ、と優しく降ってくるキス。
触れたのは唇――ではなかった。
額だ。前髪の生え際よりちょっと下。


「………」


そういえば一昨日も額、その前は確か頬だった。
あれ?最後に唇に触れたのはいつだっけ?なんて不意に考えちゃったら。


“倦怠期”。


みたいなどうしようもなく不穏な単語が浮かんでサァッと血の気が引く。
いやでも好きって言ってくれるし私をおおおおかずにしてるって言うしっ。
いやでもでも相手はロキだしあのロキだし女たらしのエキスパート――


「ルーシィ?」
「あ、いや……」
「?」
「な、なん、なんでも……」


なくはない!
ルーシィは勢いに任せてロキのネクタイを掴んだ。困惑するロキをキッと睨んで黙らせて。
無理矢理、唇を重ねる。
久しぶりに触れ合った唇は温かく、ただその一部が繋がっただけで胸がきゅぅんと子犬みたいな音をたてた。


「………」


ゆっくりと唇を離し、ルーシィは俯いた。
さあロキはこれにどんなリアクションでくる。
そして私はどう返そう――そんなことを考えて。


「…………」


………


リアクション、来ない。
恐る恐るロキの顔を見ると。


「………………」


さっきと同じ目。
ここに居るのにここじゃないどこか遠くを見て、そのうち悟りでも開いちゃうんじゃないかってくらいに虚ろなそれ。
これはルーシィに飽きたというより――


「ね、ねぇロキ」


ルーシィは顔を引き攣らせた。


「もしかして……我慢してる?」
「………………」




パッポー




どこからかホロロギウムのような間の抜けた音がした。








――――無理してる




* * *
アニメもあの話やるしここはロキルーで連載やるしかないじゃないかとか思ったらNovelの続きしか手段はなかった。Memoでやろうにも時間がなかったのと小刻みだと私がイライラするのがもうなんか嫌になったんだ。
このあとの展開相変わらず決まってないんだロキルーの場合。エロでもいいなどうしようかな。
残り4話でどうまとめようかな。

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