噛み砕いてはのみこんでいく【G→L】
「ちょっとグレイ聞いてよ!またナツの奴が……!」
ぷりぷりと怒ったルーシィが俺の隣に座った瞬間、決まって溢れ出すのは愚痴の大洪水。
何故か最近、ルーシィは毎度俺に愚痴りにくる。
家に不法侵入だのオンナノコの扱いがなってないだの。
他の男のこと話してるのを聞かされて楽しいわけないのに。
めんどくせーめんどくせーめんどくせーめんどくせー。
こっちが愚痴りてーっつの、とか内心では思いながら、
「――まあ一旦落ち着けよ」
なんて大人の苦笑をして水(無料)を奨める。
めんどくせーよだりーよ聞きたくねーよなんて思ってることはおくびにも出さずに。
「ありがと」
と言って水を飲み干した瞬間、「でね!」と再び口を開くルーシィ。
ああまったくほんとにめんどくせーけど。
ナツのこと話してるルーシィの表情は、いつだって生き生きと綺麗だ。
気がつけば目が奪われて、ああクソ、今だって。
「ねぇグレイ聞いてる?」
「あー聞いてる聞いてる。あれだろ?要はあの野郎が最低なんだろ?」
「そうなのよ!でねでね……」
はいはいはいはい。
相槌を打ちながら嘆息。
本当にムカつく奴の話するならそんなに目を輝かせんじゃねーよ。
そんな潤んだ目で俺を見んじゃねーよ。
誤解するだろうがよ。
「そしたらナツがねー……って聞いてる?」
「おー超聞いてる」
「そ?ならいいけどー……で、どこまで話したっけ?」
「最低がどーとか」
「あ、そっか。だからつまり私はね……」
はいはいはいはい。
相槌を打ちながら嘆息。
あーそうですね最低ですね。
はいはいはいはいよかったですね!
――――噛み砕いてはのみこんでいく
「――んー、やっぱりグレイに話すとすっきりするわ」
マシンガンのように愚痴愚痴愚痴愚痴したルーシィは晴れやかに笑った。
ホント毎回いい迷惑だと思うのに「ありがとね」なんて言われたら「ドウイタシマシテ」しか俺には言えやしないのだ。
そんでもって、
「また聞いてね、グレイ」
「おー」
やっぱりこうなるわけで。
あーあ、まったく。
なんでよりによってクソ炎なんだか。
なんで俺じゃねぇんだか。
あーあ、まったく。
マジめんどくせ。
* * *
負け犬シリーズ1。
ナツルー連載してて迷ったのがグレイの扱い。リサーナがあったからこれでグレイも矢印に混ざったらてーへんなことになると思ったんだ。
いつものアホいのじゃなくてごーめーんー。反省しないっ。
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