ともかくあたしは負けたりしない【N*L】#
*Novelナツルー連載KLMNをお読みになった後で読むと2人の関係性がわかります。
Memoに更新したインスタント小説に加筆修正を加えたものです。
ルーシィの頭が超絶ぴよぴよしてるのでお気をつけ下さい。
「ん……」
ナツのキスはずるいなーってルーシィは思う。
最初はちゅっちゅっなんて無邪気に触れてくるくせに、ちょっと油断すると熱い舌がルーシィの唇を割って入るのだ。
歯列をなぞり、上顎を突き、舌先を吸い、唾液を混ぜる。
口腔内で何が行われているかなんて、実際はルーシィにわかるわけがない。ほとんどが想像だ。
ルーシィは常にされるがまま、でも時々がっついたナツと歯がガチッとぶつかって文句を言うくらい。
野性的なキスをするナツの首に腕を回しながら、ふと、ああ一緒に仕事に来ているエルザとグレイにはばれないようにしなきゃなー、とか考える。
――ああ、そうだ仕事。
今日は泊まりがけの仕事に来て、明日が仕事本番。
だから今日はゆっくり休もうと思ってたのに。
なんで私、ナツとベッドでこんなこと――
「ん……」
散々口内を犯され、ちゅるっと生々しい音と共に唇が離れて、ようやく一息。
ぽーっとしてると、またちゅっと可愛く唇で啄まれる。
おもいっきりキスで犯されたばかりで感度が上がっていたルーシィは、それだけでも「ぁ……」なんて吐息混じりの声で反応してしまった。
「そっ……そういえばあんたって舌の入れ方とか知ってたのね」
物欲しげな声をごまかしながら腕を解けば、「んー、なんとなく?」とナツの返答。
本能で、か。どちらかといえば理論派のルーシィにやれと言われたって絶対無理な芸当だ。
「でも気持ちいいだろ?」
「は、はぁ?調子に乗らないでよ」
思い出すだけできゃあああってなって脳みそがふにゃあってとろけそうになる、なんて絶対言わないのがルーシィのプライドだ。
何しろ、好きなのはナツのほうだけ。一方的な片思いのナツにキスを“させてあげている”ようなものだ。
だってルーシィはナツに好きだなんて、伝えてあげてないのだから。――まだ。
「言っとくけどアンタのキスなんか絶対上手くないわよ」
「そっ……」
「調子に乗るとすぐ歯をぶつけるし私のことそっちのけで自分のしたいようにしかしないし」
「…………あ、そう……」
大好きな小説から得た知識を振りかざせば、ナツはしょんぼり肩を落とす。
キスの間中取れない主導権を取り返して満足したルーシィは「だ、だからさ」と続けた。
「も、もっと練習したほうがいいんじゃないっ?」
なんて。
本当はまだ足りない、なんてまだ言う資格のないルーシィは、そんなふうにしか誘えないのだ。
ナツは小首を傾ぐ。
「んー、誰と?ハッピー?」
「いやそれは可愛いけど」
「じゃあルーシィしか居ないかー」
「……なによそれ」
「へ?」
「――じゃ、『じゃあ』、で、仕方ないから私とするのっ?」
「………………ほっ」
「ほ?」
「ホント可愛いんだけどお前……」
「はぁ?何そむっ?……んっ」
再び、今度はいきなり深いキス。
と、同時。
ナツの大きな掌がルーシィの豊かな乳房を包む。
これぞ本能だと思えるくらい、突拍子もない行動。激しいキスに応えながらルーシィはひぅっと息を飲んだ。
待って待って待って。それは駄目でしょ私たちまだ“相棒”なんだから。
そういうのはやっぱり“恋人”になってから――私が気持ち伝えてからするものでしょ……って気持ち伝えたらしていいってことじゃないわよもちろん私そんなハレンチなことしたいとか、そーんなこと考えたことないんだからっ。
「っ……」
やめなさい!こら!と言いたくてもできないルーシィは、拒絶の意を込めてナツの舌を自分のそれで押し返しながら、なんとかナツの手を払いのけようと奮闘する。
ナツは一旦キスをやめた。そしてルーシィの耳元に湿った唇を寄せたナツの奴は、事もあろうに、こんなことを言ってのけたのである。
「――ルーシィ、好き。大好き」
「だっ……」
大好きとーきましたかー。
途端にルーシィの身体からふにゃふにゃ力が抜けたのを見計らい、ナツの手が胸をぎこちない手つきで揉み出した。
やわやわと、優しく。それからだんだん掌で円を描くように。
「ひぁ……んっ……」
ルーシィは与えられる刺激にひくひく反応しながら、でも抵抗はしない。
ゆっくりとベッドに背を沈め、ナツのさせたいようにさせてやる。
そっかーあのナツが私を大好きかー。なななならしょうがないわねぇ。
大好きなんだもん。この私を。
こーんなに夢中になっちゃうくらい、だだだ大好きっ、なんだもんねぇ。
気がつけば着ていたキャミソールは少しずつ下に下げられていた。生の胸を揉まれだした時は流石にちょっぴり抵抗したが、でもまた「大好き」なんて言われようものならああんもうナツってば仕方ないなぁ〜にははは〜なのである。
「あっ……」
そう、仕方ないのだ。
今日は特別。久しぶりの仕事だしキスだし二人っきりだし。
揉まれたってすすす吸われたって胸くらいならー……
「ってこら……!」
するり、といきなりスカートに手が入ってきて、お花畑にスキップしていたルーシィの意識が戻ってくる。
いややっぱりまだ駄目でしょ下は。私たちには早過ぎるわよ。
第一ちょっと胸を許したからって私そんなに安い女じゃ……
「ルーシィ、超可愛い」
「ちょっ……」
ああー超可愛いのかー。
耳元で囁かれたナツにしては低めの声に、またふにゃふにゃと脱力。安い女上等、である。
そっかー。じじじじゃあ仕方ないんじゃないかなー。私が超可愛いのが悪いんだもんー。
ごめんねー超可愛くてー大好きでーナツったらこの私の魅力にめろめろだもんねー。
『じゃあ』、で、仕方なくだけどー。
「ちょ、ちょっとだけ、だよ?」
「ん」
ルーシィのすべやかな内股を撫でながらナツが無邪気に笑った。
それだけで、あーやっぱりちょっとだけじゃなくてもいいかな〜なんて言いそうになっていや私の馬鹿馬鹿馬鹿。そんなの駄目よハレンチよ。
それはまたちゃんと好きって言ってからじゃないと――
「ひあっ」
つつ、とナツの指がふとももからレースのショーツの中に進もうとする。
ええ?そんなところ、さささ流石に駄目でしょ?ちょっとどころじゃなくなっちゃうでしょ?
だってだってそんなところ誰にも触らせたことないもん。怖いもん。変だもん。無理だもん。
ああでもどうしよう。嫌だなんて今更――
「ルーシィ」
「っ?」
頬にキス。まるで宥めるようなそれは、ナツにしては気が利いていた。
さらにそれまで乳房に添えられていたはずの大きな手で、頭をくしゃりと一つ撫で、
「怖くねーって」
「え……」
「――俺を信じろ」
ニカッと笑ったナツの顔はいつもの無邪気さだけではない。
少年と青年と男が複雑に混ざった、大人の匂いのするそれ。
初めて見た時、ドキドキしてまともに見れなくなったそれに、今は見惚れてしまう。
ああもう、そんなのずるいじゃないのひどいじゃないの。
そんなこと言われたら、そんな笑顔見せられたら――もう、捧げるしかないじゃないの。
「な、ナツ」
「ん?」
「私、可愛い?」
「超可愛い」
「すすす好き?」
「大好き」
「じゃ、じゃあ、その……」
してもいいよ、なんてやっぱり軽く言えるわけがない。
だから、ルーシィは一世一代の覚悟を決めた返事の代わりに。
「……ナツ、好き」
「え……」
ナツの反応も見ずに。
気持ちが伝わるように祈って、唇を重ねた。
「――ってことにならないように明日の仕事は気を引き締めないとね、プルー!」
「プーン……」
真っ赤な顔をしてぐっと握りこぶしを利かせるご主人様に、プルーは困ったように首を傾げた。
そう、明日から泊まりがけの仕事。
ナツと微妙な関係になって、初めてのお泊りなのである。
もちろん部屋は別なわけだが、もしかしたら夜ばいとかあるかもしれないなーなんて考え始めたら止まらなくなってしまったのだ。
「この前はついうっかり盛り上がって一生分くらいのキスをしまくったわけだけどもね、やっぱり“相棒”としての線引きってやつが大事なのよ」
「ププーン」
「ま、まあねぇ、ナツがどーしてもって言うならうふふふ……」
「ププン?」
「ももももちろんキスまでよっ?それ以上のことなんか絶対させてあげないんだから!だって私アイツの“相棒”だもん!まだ!」
自分に言い聞かせるように言えば、「プーン……」と再びプルーが戸惑い混じりに震えた。
「……何よプルー。私を疑ってるの?」
「ププンっ?」
「しない……ううん、させないわよ?あーんなこととかそーんなこととか……」
「ププ……」
「あわわわだだだ駄目よナツ!私そんなまだ心の準備とか……!きゃあああっ」
ばふばふばふと枕を叩くルーシィ。「ププーン!」と、戻ってこーい、とでも言いたげに鳴いたプルーはルーシィの膝の上でぷぷぷぷと震えた。
その振動で我に返り、コホン、と咳ばらいしてベッドに座り直す。
潤んだ目でジトリとプルーを見下ろす。
「さ、させないってば」
「ププ?」
「ああああんなとかそんなとかこんなとかっ……」
「プーン」と心配そうに見上げるプルー。
ルーシィは震えながらも、息を大きく吸って高らかに、
「ぜーったいぜったいぜぇええったいっ、させないんだからぁああああっ!」
――――ともかくあたしは負けたりしない
なんやかんや宣言しつつ、下着は1番可愛いのを揃えたルーシィであった。
* * *
やっぱり途中で飽きたので禁断の妄想オチ。ルーシィの頭が非常に残念であーる。
苦情は受け付けんとよ。さらば。
あ、前に「誰に言うべきなのかわかんないけれど」を加えて加藤千恵短歌。なんてピッタリなんだろうって思った(笑)。
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