カップリング小説 欲望[5] 夜中の1時に目が覚めた アキは床で寝ていた…ずっと看病してくれてたんだ アキの近くにスケッチブックがあった アキは絵を描くのが趣味らしい…1日目はほとんど話さず絵を描いてた ページをペラペラめくっていくと、俺の寝顔が描いてあった…生きてるものは描かないって言ってたくせに …やっぱり上手だな 絵のことは、よく分からんが上手なものは上手だ 「…んっ、シュウさん…?」 起こしてしまったらしい アキは俺が持ってるスケッチブックを見た 「勝手に描いてスミマセン」 「謝る必要はねぇよ…上手じゃん!看病してくれたお礼に好きなかっこうを描いていいぜ!何かリクエストあるか?」 …言わなきゃよかった 最近の学生は恐い…コスプレじゃなく全裸を要求された だが、男ににごんはないからな しょうがなく全裸になった 「可愛いですよ」 嬉しくねぇよ …アキが俺を見てる 顔、胸、あそこ… どうしよう、何もされないのがこんなに恥ずかしいなんて アキの手がとまった いきなり立ち上がり、なぜか電気を消して俺に近づいてきた 「もう…ダメ」 そう言って俺に抱きついた 「ちょっ、アキ!」 おとなしそうなフリして積極的だったとは…じゃなくて、どうにかどけないと 蹴りとばそうとした時、寝息がきこえた …こいつ、眠ってる だからって俺を抱き枕にするな〜 朝起きたらアキはいなかった リビングに行くとセンイチがいた 「きゃっ、シュウってば大胆なんやな〜アキフミとsexしたんか?」 「してねぇよ!つ〜か、アキは何処に行ったんだ?」 センイチは真剣な表情になった 「おやっさんが銃で射たれて…家で寝込んでる」 アキの父親が… 「さっき、それをアキフミに伝えた…護衛をつけて家に向かってる」 比良松組は條原組を潰したらしい…そして、あっちの組長の愛人が拳銃で射った 「あの様子じゃ…おやっさんは長くない」 アキとセンイチの大切な人が死ぬ…俺は関係ないが何故か涙がでてきた 「…なんでシュウが泣くんや」 センイチは俺をだきしめた センイチにとってアキの父親は恩人らしい…昔、センイチは親に捨てられて拾ったのがアキの父親 「センイチ…アキ達のとこに行こうぜ!」 「シュウ、俺は…おやっさんを守れなかった」 「だからこそ…しっかり見届けなきゃいけねぇだろ!」 俺は服を着てセンイチと一緒に行った だが、遅かった 俺達がマンションを出た頃に亡くなったらしい… センイチは1人にしてくれと言い、アキの父親がいる部屋に残った センイチの泣き声が廊下に響いた…マンションでは泣かなかったのにな 俺はアキの部屋に行った アキは部屋の隅でうずくまっていた 「シュウ…さ…ん?」 アキの目は兎のように赤くなっていた 「俺、オヤジの事が嫌いだった…組長なんかやってるし、俺の事なんか気にもしなかった」 俺はアキの話を聞くことしか出来なかった 「でも、絵だけは褒めてくれたんだ…嬉しかった…また描いてくれって言ってくれたのに」 部屋の壁に大きなキャンパスがあった…アキの両親が微笑んでる絵 アキの母親はアキを産んだ日に亡くなったそうだ 「オヤジがいなくなって、初めて悲しいなんて思うんだ!…1人でいても何も思わなかったのに!」 アキは顔を手で覆った 俺はアキをだきしめる事しか出来なかった [前へ][次へ] [戻る] |