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02.

証明
(この身体の傷は誓い、そして私の誇り)


先生に言われるがまま…いや、先生が危険だと挙げた人物をおいらはひたすら斬り殺した。
先生の邪魔になるものはいらないと思った。
そして、先生もそれを咎めることはなかったし、時には誉めてくれた。

ある日、先生が襲われた。
たまたま、おいらが傍に居合わせた。
突然のことに上手く攻撃を避ける事が出来ず、傷を負った。
左腕を斬られたおいらは自分が死んでも先生を守らなくては、と刀を握り締めたまま、敵に体当たりをした。
相手はふら付きつつ、逃げていった。
止めをさせなかった自分が憎かった。

慌てて、先生に犯人の顔が確認できなかった事を謝った。
先生は顔を歪ませて怒っていた。
おいらはどうしょうかと焦った。

「申し訳ねぇ…先生、俺、顔が確認できなくて…」

恐ろしく、そしてもし分けなく顔を上げる事の出来ないまま、土下座をした。
床にはおいらの血がたまっていく。

突然、右手をつかまれ、立たされる。
懐から、先生は懐紙を取り出し、左腕の傷口の止血を始めた。

「以蔵、お前がいなくなっては困るんだよ」

先生は小さく口を開き、確かにそう言った。

「すみません」
「早く医者に見てもらわないとだめなようだ」

いしゃ…?と不思議そうな顔をするおいらに先生は医者に診てもらった事はないのかと聞いてきた。

「病気をしても、おいしゃさまに診てもらったことはねぇ…です」

傷口をさすりながら続けてこう言った。
「多分、大丈夫です、これ位なら」
「いや、しかし」
「この傷は先生を襲った犯人を捕まえる事のできなかった戒めです」

先生は黙り込み、何かを考えている。

「もし、化膿、悪化した場合は医者に行く」
「…へい、わかりました」

再び、傷をこすりながら岡田は思った。

しっかりこの人を守らなくては、と。

先生はおいらの目を見ながら言った。

「その傷が私を守って出来た傷だ、誇れ」

「…はい!」


涙が出そうになった。




(誇れ、誇れ、誇れ、先生が言った言葉を反復した。)


























20090917


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