[通常モード] [URL送信]

story
イバラ城07





トワ「ソウシ先生。僕達ずっとここにいて大丈夫でしょうか?」

ソウシ「…そうだね。もう少し待って誰も来なかったら、動こうか」

トワはだんだん焦りだしていた。




私は 先日読んだここの城の伝説が書いてある書物を思い出していた。

生贄のことは書いていなかったが 気になる一文があった。

それは 「お祝いの宴を早朝にする」ということ。


宴やパーティというものは たいがい夜にするのになぜ朝なのか。

しかも早朝。

お話の中には、あえて暗号が隠されていたり、わざとおかしな文章にして、別の何かを伝えようとしているものもある。

多分 生贄というからには 何か儀式をするはずだから…早朝?

わからない…



だけど、

○○ちゃんを夜中に連れ去って、すぐに生贄にはされないという考えが浮かんでいた。



しかし、そうも行ってられないかもしれない。

外の月を見て今のだいたいの時間を考えると、あと2時間もすれば、日の出。

そろそろ 動き出さねば。







ガチャガチャ

鍵を開ける音がした。


先ほどの門番とは違う兵士がやってきた。

兵士「ここの城の主が、おまえ達に会いたいといっている。夜中だがご同行願えるか」

ソウシ「もちろんですわ。私たちもご挨拶しなければいけないと思っていましたのよ」



私達は 兵士について、暗い廊下を歩き、階段をのぼった。


城の中は複雑なつくりで、階段をのぼっては途切れ、また廊下を歩き、次の階段に移動し、またのぼり…を繰り返し 15分ほど進むと、かなり上のほうまで上がってきていた。


ある部屋の前で 兵士がぴたっと止まる。

兵士「この部屋だ」


主の部屋のドアにしては 粗末な作り。

いやな感じがして トワに目で合図を送る。

トワが無言でうなずく。


兵士がドアをあけ 一歩中に入ると、案の定 ドアの両脇に 男二人が待ち構えていた。

二人は私達の口をふさぎ、後ろから抱きつく。

私とトワは それぞれの男を力づくで押さえ、気絶させた。


それを見ていた、私達を連れてきた兵士は

兵士「おまえ達、何者!」

と腰に刺していた剣を構えた。


ソウシ「あ〜ら、ごめんなさい〜。私達 女だけど、護身術ぐらいは知ってるのーーーよっ!!」

言いながら 兵士の後ろにサッと回り、床に押さえつけた。

ソウシ「ここは 主の部屋じゃないよね。タリーア姫はどの部屋か教えるんだ!」

低い声で言う。


兵士「まさか、おまえ…」

トワ「僕達、おとこでーす」

トワは 笑顔で 兵士の落とした剣をひろって 兵士の顔の前ギリギリの床に思い切り突き刺した。

兵士「ひっ!!」


私は 兵士を押さえつける手にさらに力を入れた。

ソウシ「さぁ、いうんだ!」

兵士「わ、わかった!…王女は最上階にある広間で、準備をなさっておられる…」

ソウシ「先ほどつれてこられた女の子と 眼帯の男はどこだ!」

兵士「生贄が来るのは聞いてたが、詳しくは知らない!」

ソウシ「ほんとうか!」

兵士「ああ、オレは言われた通りおまえ達をここに連れてきただけだ…」


トワ「この人 下っぱだから、詳しくは知らないんでしょうか?」

ソウシ「かもしれないね。…えい!」


私は 兵士に一撃を食らわして気絶させた。


ソウシ「トワ、とりあえず最上階にいくわよ!」

トワ「ソウシ先生、言葉がもどってます…」

ソウシ「急ぐわよ!」

トワ「は、はい…」











[*前へ][次へ#]
[戻る]


あきゅろす。
無料HPエムペ!