褪ロラ
1
「ロヴィ、話があるんだけど」
「ん? なんだ?」
「…………」
それには答えずに、アキくんはじっと僕を見た。僕にも、何か用だろうか。問い返すつもりで首を傾げて、僕もアキくんの瞳を見詰め返す。彼の大きな金の瞳は今日も綺麗な光を湛えている。
黙り込むアキくんの視線を追うように、ロヴィも僕を振り向く。そして、僕にはわからなかった何かを察して、笑った。
「大丈夫だよ、アキ。こいつは何考えてんのかよくわかんねえヤツだけど、お前の害になるようなことはしねえから」
「? 僕が、何? 害?」
「じゃあ、いいけど……」
「なんだよ、ナイショの話かー?」
僕の言葉を綺麗に無視して、アキくんは続けた。……少しショックだ。話しながら、慰めるようにロヴィが僕の頭を軽く叩いた。
「言い方がちょっとムカつくけど、そんなとこ。……これからはさ、俺もみんなについて行きたいんだ」
アキくんの言葉にロヴィは軽く目を瞠り、すぐに眉を下げて笑う。
「そりゃあお前……、うーん……」
「危ないってわかってる。多分まともに頼んだら、シャロンは聞く耳すら持ってくれない……」
そこで言葉を詰まらせて、アキくんは俯きがちに声を震わせた。
「でも俺、もう朝起きて一番にシャロンの顔見て、ああ、生きてるって、まだここにいるって確認してほっとするの、嫌なんだ。……俺だけ蚊帳の外で、留守番ばっかりは嫌なんだ。わがままなのはわかってる、けど……!」
「アキくん……」
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