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褪ロラ
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 そんな生活が、数日、続いた頃だった。

 「そういえばこの前、聞いたんだけど」
「んー?」

 のんびり歩きながら、ロヴィは僕の言葉に背中で答える。

 「ロヴィは嘘つきなんだって」
 「嘘つきぃ? なんだそりゃ」

 肩を揺すって、少しだけ笑みを含んだ声で問い返す。

 「つらくても、つらいって言わないって」
 「ふっふっふ……。そりゃーおまえ、オトコだからな。その方がかっこいいだろ?」
 「迷惑だって」
 「……は?」

 振り返ったロヴィは、目を丸くしていた。
 何を言われたのか、分からなかった。
 そんな顔で。

 「面倒だって」
 「…………」

 びしり、と。
 音さえ聞こえてきそうなほどに固まって絶句したロヴィが、僕の顔を凝視している。

 「……エルドだな」

 唇がゆるりと笑みの形を作って、しかしそのこめかみには青筋が浮いていた。
 先日の件から、ロヴィはエルドさんに対してピリピリしている。
 三年前にロヴィは大怪我を負い、その事件に関する記憶を、関係者だったらしいエルドさんのことを含め、全て忘れてしまっているらしい。
 しかし、エルドさんが話してくれたのはたったこれだけの情報で、その時に起きた具体的な出来事については全く口にしようとしない。
 ロヴィはエルドさんへの不信感を露骨に募らせて、以来、事あるごとに突っ掛かっているのである。

 「…………あ、ちが」

 他意は、なかった。
 本当である。
 本当に、ただ、思い出しただけなのだ。
 よりにもよって、今掘り返す話題ではなかった。
 と、口にしてしまってから、後悔する。
 今となってはもう、後の祭りでしかないけれど。
 どうして僕はこう、間が悪いのだろう。





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あきゅろす。
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