[通常モード] [URL送信]

お題小説
02:未完成のクリスタルハート(リョ幸/誘い受)

どうしたって俺たちはまだ未熟で、背伸びしておとなの恋愛みたいなことをしてみたり
等身大でいることが何故か嫌で見栄とか意地とかを張ったりして

「好きだよ」

なんて囁いてみても薄っぺらくて

「俺も。ねぇボウヤ今度の休みはどこへ行こうか」

「…家がいい」

抱きしめあう手に力を込めたら大人ぶってキスをする
未熟な俺たちは愛することの難しさに悩んで、行き急いで大人の真似事をしているに過ぎないのだけれど
それでも愛し愛されていると確かに感じることが出来るのに
何か、足りない

「好きだよ。幸村さん」

「どうかした?今日はやけに…」

「好き、なんだ…ッ」

伝わらない何か足りない
どうすれば届くの?

「俺も好きだよ」

違う、そうじゃないんだ
証明できない。俺がアンタを好きだって
する必要がないっていつかアンタは笑ったけれど、どうにか形にしないと失ってしまいそうで
舌を絡めても体を重ねても埋まらない
自分達以外には伝えられないことだからしかたないの?
どうしてだろう
認識されないと本当にこの感情が存在しているのか分からなくなる

「…若いね」

「そんな年変わんないっスよ」

ベッドに押し倒せば苦笑を零した相手。
どうして?
踏み出せない

「怖気づいたのかい?」

クスクスと笑いながら俺の髪に手を伸ばした幸村さんがさらりと長い指で俺の頭を撫でる

「違う...」

「それとも、上下換わりたいのかな」

「冗談」

ぷつぷつとボタンを外す
胸の中は相変わらずもやもやしてる
真っ黒な何かが俺の思考とか心を蝕んでいくような...
振り払いたくて首筋に唇を落した

「ねぇボウヤ...そんなに背伸びしなくてもいいんじゃないかな」

「ッ...!?」

唇が離せない
比喩とかそういうのじゃなくて、キスを落した状態で幸村さんが俺の頭を抱くから

「大丈夫。俺はココにいるよ」

どくんと心臓が高鳴って凍ったみたいに胸が冷たくなる
腕の力が緩んでゆっくりと唇を離せば穏やかな瞳と視線が絡んだ
嗚呼そうか
この俺の中の黒いモヤは、欲望だ
どす黒くて汚らわしい純粋な欲望
それに気づいた瞬間どうしようもなく自分が嫌になった

「幸村さん、俺…最悪だ...」

「…、それは違うよ」

好き、と吐いた口で何が紡げるのだろう

「違わない。俺は、ずっとコレが正しいと思ってた。コレが、スキって感情を表現する術だと思ってた。でもそうじゃない...」

言葉の薄っぺらさに気づいた時に気付きたくなかった感情に気づいた
どうしようもなくソレが嫌で、隠していたんだ
ずっと幸村さんを好きでいたかったから

「こんなのただの、処理と同じだ…」

欲望のはけ口としての行為と相違ない
それでも俺は幸村さんを好きなんだって愛してるんだって思っていたかった
誰も知らないから俺たちの間だけでも形にしたかった
言葉なんて流動的なものが酷く幼く感じて嫌だったのを覚えてる
行為を重ねて、大人の愛仕方をしたつもりだった
真似事に過ぎないのに

「そうかもしれない」

できれば、否定して欲しかった...

「俺も、そう思うときがあった」

「え…?」

「本当は好きっていうのは錯覚で、ただ己の欲を満たしてるだけなんじゃないかって」

俺と同じコト…幸村さんも考えてたんだ

「でもボウヤが俺に好きと言ってくれたから、錯覚は錯覚だと思えた」

ボウヤは違うのかい?
その言葉に半ば反射的に首を左右に振った
俺だって幸村さんが好きで…ッ

「なら、問題ないよ」

誘う指。
言葉なんていくらでも偽れる

「好きだよボウヤ」

偽れないのは心。でも心を伝えれるのは言葉と行為
唇を重ねるたびに分からなくなるけれど重ねずにいると消えてしまいそうだから
また、重なる唇
背伸びのまま俺たちはどれくらい歩けるんだろう

「ん...ッは…ぁ、ぁぼう..やぁ…ッ」

「何?」

「ッそんな...むね、ばっか…っひ!あ、ぁぁ...」

白い肌に紅の花弁が散っている
これが証。だけどいつか消えてしまうもの
すり、と脚に昂った幸村さん自身が擦り付けられてようやく俺は花弁を散らすのをやめた
熱で蕩けた瞳で誘われて理性なんか吹っ飛んじゃいそうだ
コレを錯覚だと感じなくなる日が来るのかな
例えば子供のとき鏡の仕組みが分からなかったけれど今となっては何も感じないような…そんな感じなのだろうか

「淫乱」

「っは...ぁ!ひ..どい、なぁ…ッ」

荒い呼吸を繰り返しながら幸村さんは微笑を浮かべた
挑発するみたいに赤い舌を覗かせて

「ね...ボウヤも一緒に...ッぁ…溺れ、ちゃおうよ...ッ」

首に手を回されて引き寄せられたかと思えば耳元で囁かれる言葉
俺の中の何かが崩れる音がした
手荒く服を剥ぎ取って既に質量を増していた幸村さん自身を握りこむと彼は一瞬悩ましく表情を顰めた
その表情が俺の胸の中を掻き毟る
欲望が唸りを上げて理性を食い殺すんだ

「んぁ...ぁっふ…ぅぁあ、あぁッ…ぁふ、ぁッン!」

どろり。融けていく

「幸村さん」

「は...ぅ。ん…ッ?」

「…やっぱり、後でいい」

何かが足りない
けれどソレが何なのか分からない
欲望が思考を麻痺させて、どくどく脈打つ心臓は彼を求めた

「んぁぁッは、…ンひぅ!は、ぅ...ぁぼう..や……ッとめ、て...ッぁ!」

幸村さん自身が充血してぶるぶる震えだした頃
俺より少し大きな掌が先走りで濡れだした俺の手を包んで止めさせた

「何で?今止めたらツラいんじゃないっスか?」

「はッ..はぁ.....ぁ、ん!い、っしょに…ッイこう...よ…ね.....?」

辛そうに微笑むその表情に愛しさが俺の中を駆け巡る
枕もとのローションを掌に零して幸村さんの後部を解せばびくん、とのたうつように内腿が震えた
ゆっくりと、けれども確かに内部に指を突き入れればきゅうきゅうと指に吸い付いてきて
どうしようもなく未熟で短絡的な俺の欲望が求める

「ぁ!は、ぅ…ぅぁん!あ、ぁぁ...っはぁ、あッんンン!!」

「そんな我慢しないで、イってもいいッスよ?」

「ッぁ、ぁあやッ…はぁン!!!あぁあだめ....っひぃぁ!だめ...ッ」

内部で指を広げるたびに絶頂へ近づいてはその一歩を堪え震える体
欲望に染まった瞳が俺を見つめてる
わかってる
一方的な処理にしないために、幸村さんがしたいことは
だけどそれでも辛そうな表情を見てるのが嫌で、でも傷つけたくなくて
頭ン中がぐるぐるする

「ひぅ...ッぁ!も、ぁあもう…い、れて...ッんぁああッ!」

ぎゅう、と首にしがみ付かれて躊躇うこともできなかった
熱を集めた俺の欲望をひくひくと震え快楽を堪える幸村さんの後部に宛がう
一度視線を絡める
コク...と幸村さんが頷いたのを合図に一気に最奥を目指して突き上げた

「んぁッぁぁあぁッ!!!」

「ッ...!」

びゅく――最初の一度だけで我慢の限界を超えたらしい幸村さんは内部を収縮させて絶頂に達した
熱くうねった内部が絞め殺さんばかりの勢いで俺に絡みつく

「はぁ...ぁ、ぁッ!!や...ぼ、や…まだッぁぁああ!!」

まだ白濁を溢れさせているうちから律動を再開する
俺ももう我慢できない
幸村さんは指先が白くなるほどシーツを握り締めて綺麗な髪を振り乱して悶えてて
何倍にも膨れ上がった快楽のツボを扱き上げればびくびく体を痙攣させた

「あぁあッひ、ぁ...やっまた…ぁあッひ、ぅぼ…やぁあッ!!」

「ッごめ…!」

「ふぇ...?っぁ、ぁぁあッや…で、て...るッひぁあッや、だめ!そのまま...ッうご、いちゃ...ッひぁぁぁッ!!」

全身を快楽が駆け抜けて俺も呆気なく絶頂に達して
彼の中で果てる
けれどまだ、足りない

「ひ、ぅぁあッ!!」

「幸村さん好きだよ」

快楽に溺れた瞳。その瞼にキスをすれば一瞬光が差して

「ッなら...ッひぁいっしょ…にッ」

肌と肌のぶつかる音と卑猥な水音が大きく響く
愛してる
好き
愛してる
どんなに繰り返してもなんだか薄っぺらくて
どうすればこの恋とやらは完璧なものになるんだろう
体を重ねた回数だけこれでいいのかと不安になったけれど、その分言葉は飛び交った

「ッひぁぁッも、ぁあだめ…ッイく、イッちゃ...んひぃぁ!」

「じゃ…一緒にッ」

「ぁああッひ、ッありょ…まぁ...すき、すき.ぃ..ッ」

俺も。
触れるだけのキスをしてより深く体を繋げる

「ひぅッ!ん、ぁ..ひッぁぁあぁ――ッッ!!!!!」

「っぁ...!!!」

視界も思考も真っ白に染まって
そのまま2人一緒にベッドに倒れこむ
もう、背伸びなんか出来ない。伝う涙は後悔じゃないと信じたい

「はぁ...っ、ねぇ…等身大って…さ、なんだと思う?」

幸村さんは眠そうな瞳で俺に尋ねた

「っは…はぁッ、さぁ…?」

「ねぇ…背伸びするの、もうやめない?」

「いーよ」

でもきっと俺たちはまた背伸びをするんだろう
未完成な恋の心を偽るために。
精一杯の強がりのために

アンタを好きでいるために



未完成のクリスタルハート
(で、具体的に何するの?)
(んー…色んなトコ遊びに行ったり?)
(じゃあ今度ゲーセンでも行こうか)







  あとがき

どうも管理人です
6月のお題小説2作目です

中学生の恋愛ってどんななんでしょうね。
管理人は中学時代恋愛らしき恋愛をしてないので分かりません
まわりには色々いましたが

書いててこの2人兄弟みたいだなーって思ってました



アンケート結果は以下の通りでした

4位:リョ幸
投票:1092票

コメントを下さった 長月様 ミケ様 皆様 ありがとうございました
そして投票してくださった全ての方々、本当にありがとうございました


それでは最後まで読んでくださりありがとうございました


※誤字・脱字・誤変換等ございましたらお手数ですがBBSまでお願いします。
 また、感想もお待ちしております。お気軽にどうぞ
 ※フリーリクエストも随時承っております。リクエストの際はこちらをご利用ください



[*前へ][次へ#]

32/55ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!