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お題小説
04:わたしの手を握っていてくれれば良いのに(その他(赤幸))


淋しくて淋しくて淋しくて
冷たい何かが針を伝って俺を壊すんだ

「テニスがしたい、さもなくば死にたい」

ぽつり呟けば君は眉を顰めて困ったような顔をした

「幸村部長...」

「…冗談だよ」

嘘。
だってそうだろ?
俺からテニスを取ったら何も残らないんだ
ただ、俺という存在は呼吸だけして生きてるフリをするだけだ
それなら…いっそ、

「俺は、幸村部長がいなくなったら…淋しいっス!!」

俺だって本当はこんなこといいたくない
なんて、逆ギレする気さえ俺には湧いてこなくて、曖昧に笑う

「ありがとう」

「あ、いや…その、部長は俺が倒すから、それまでは…ッ」

恥ずかしそうに表情を隠すのがなんだか彼らしくて
嗚呼何も変わらないんだな、なんて。
何も変わらないのに、俺だけ変わっていく
少し胸が苦しかった
指の先がやけに冷たい

「あ、俺そろそろ帰んねぇと…」

窓の外はいつの間にか暗くなってて、部活帰りそのまま見舞いに来た赤也が言葉を濁しながら立ち上がった
あまり遅くまで此処にいたら赤也の家族が心配するだろう
だから俺はばいばい、と手を振った

「また明日来るっス!」

そう言って病室から出て行く彼を見送る
ガラガラと音を立ててしまったドアの音が聞こえなくなると、本当に静かになった
自分の心臓ばかりが胸の奥で震えてる
急に襲い来る淋しさ
誰もいない暗い白い冷たい部屋
ふとそんな病室にぽつんと彩りを加える花が視界に入る

「あ…水、換えなきゃ」

ふらり立ち上がる





――ガシャン...!!





「幸村部長ッ!!?」

がら、と勢いよくドアが開いて帰ったはずの赤也が目の前にいた
…違う。破片、拾わなきゃ…俺…
赤也が何か言ってたけどよく聞き取れなくて不意に手首を掴まれて全身がびく、と震えた

「聞こえてるんスか、幸村部長!」

「あ、かや…いた、い…ッ」

ギリ。と痛いほど手首を掴まれて思わず目を瞑る
すれば赤也はハッとした様に力を緩めて俺の体を抱きしめた

「すいません、俺…怪我とかしてないっスか?」

何故だろう
視界がぼやける
頬に熱い液体が伝う
呆然と俺は目の前の壁を見詰めた

「幸村部長…?ちょ、どうしたんスか!?どっか怪我でも…」

「う、ううん!違う、違う…んだ……あれ、おか…し、いな…ッ俺…」

赤也は俺を立たせてベッドの淵に座らせた

「水、換えなきゃって……そしたら、力が…は、はいんなくて…ッ」

「もういいッスよ幸村部長…もう何も言いわないでください」

「俺…」

「幸村部長ッ」

口を塞がれて呼吸ごと言葉を奪われる
地面がぐるぐる回り始めて俺はバランスが取れなくなって赤也に縋る
咥内を蠢く舌の感覚を脳で追って

「はぁ……、あ、かや…っ」

力なく赤也の服を掴む手に掌を重ねられる
嗚呼温かい

声にならない声で、俺は、君を求める
どうかその熱をいつまでも。
ずっとずっとそのぬくもりを感じていたい
そうじゃないと俺、淋しさに喰われて消えてしまいそうになるんだ
だから、だからお願い

「あか、やぁ…ッ」

その手、離さないで....








「…、本当にいいんスか?」

「うん…赤也、君を感じたいんだ」

もっともっと、全身で。
男を受け入れたことは無いけれど、どうしてだかそんな気分だった
最奥に熱が欲しい
冷え切った指先じゃもう…

「でも…」

「お願い赤也…俺、もう……」

「幸村部長…」

赤也の手を取って下腹部に誘導する

「痛かったりしたらすぐ言ってくださいよ…?」

少しだけ傾斜をつけたベッドにからだを預けて軟膏で潤滑を良くした赤也の指を導く
コクリと頷けば固く閉ざしたソコを指が押し広げて
内臓を押し広げられる感覚にぞわり全身が総毛立つ

「はぁ…ぁ、…ぅ」

「…幸村部長、っ」

「ん…く、続けて…」

内部を赤也の指が蠢いてる
おぼろげにソレを感じれば何だか嬉しいような気分

「っはぁ、はぁ…ぁ、…ん」

刹那がとても長くて俺の時間感覚は壊れていく
目を閉じてただ息をする
片方の手の指は赤也の指と交わってシーツに縫い付けられてて
痺れた手足に感覚はあんまりなくてでも赤也の体温だけははっきりと感じられてる
気付けは指は3本に増えていて体液と絡まってぐちゅぐちゅと水音を発し始めた
心なしか前も反応していて、嗚呼俺感じてるんだ、なんて。

「あか…や、あかッ…ね…もう、いれて…?」

「…まだ無理っスよ」

恥ずかしさに頬が熱いけれど、それ以上に思考が融けてて

「いい…ねぇ、はやく……ッはぁ」

どうしよもなく君が欲しくて涙が伝う

「…わかったっス。…力、抜いてください」

その声とともに指が俺の中からいなくなって、代わりに熱い昂りが俺の後ろに宛がわれた
ひくん。体が反応する
よかった。赤也も感じてくれてたんだ。霞む思考で思う

「ふッ、んぁあ゙ぁ!!あ、ゔ…く、ふ…ッ」

「っは…ぁ、幸村ぶちょ…やっぱり…ぅっ」

ずんと目の前の赤也がブレて後部に鈍痛が走る
半分ほど飲み込んだ辺りで俺の後ろは限界と悲鳴を上げてて

「だいじょ、ぶ…は、…ぅんッ...だいじょ、ぶだから…」

もっと奥まで――後半は声が掠れて出なかった
けれど俺の意図を悟ったらしい赤也は俺が息を吐くのにあわせてじわじわと腰を進める
俺も出来るだけ長く息を吐きながらゆっくりと俺の内部を拓く赤也自身を感じた
体が火がついたように熱くて
脚がひくんひくんと死にかけの動物みたいに痙攣してる
長い刹那の時間をかけて漸く赤也自身が全て俺のナカに収まった
荒い呼吸が暗い病室に響く

「大丈夫っスか?」

「ん…」

声が出なくてコクンと頷くだけ
すれば赤也は笑みを作って俺の額にキスを落とした
動きの鈍ったカラダを動かして赤也を誘う

「あか、や…動いて…?」

ねだるように言えば言葉に代わって応える腰
犯されてるという感覚に犯されて俺は熱い息を吐いた

「んぁ、ぁ…はぁ、ぅ…んぁ、ぁ」

ぎゅ、と赤也の手を握り締めた

「幸村部長…」

「ひ、ぁぁあぁあッ!!」

びくん。ある一点を突かれて無意識に体が跳ねた
急激に質量を増す俺自身。まぎれもない快感が俺のナカを走り抜けたらしく
腰を揺らしてその快感から逃げようとした

「ここがいいんスか…?」

滑稽な話だ
俺から誘っておいて結局逃げる体

「んぁあぁ、ぁあッひ、ぅぁあ…ッん」

貪り食われるような快感にありったけの力を込めて赤也の手を握った
はずなのに、赤也はそんな俺を見て眉を顰めた
涙を零す目元にぎこちなく躊躇ったキスが落とされる
どうして?
なんで君がそんな泣きそうな顔をするの?

「あ…ぁ、ぁあ…ん、くふ…ぅ、うぅ…」

声が、出ない

「幸村部長…手、力入れてます…ッ?」

「はぁ、ぁ、ぁあぁッんぁぁあ゙―――ッッ!!!」

「ぅ…くッ!」

不意に赤也が俺自身に触れたせいで俺は呆気なく絶頂を迎える
赤也は寸前で自身を引き抜き俺の下腹部に白濁を吐き出した
はぁはぁと胸で呼吸を繰り返して困った表情の赤也を眺める
どうして、そんな泣きそうな目をするんだい?

「あか、やぁッ、ん……手、てぇ…、はなさ…ないで…?」

分かってた
もうこの手に力が入ってないことくらい
君を握り締める手はきっとその手に触れているだけなんだ
おかしいよね
分かってたのに、俺はまだ君の手を握ってると思っていた
君が俺の手を離さないでいてくれているから、俺は君の手を握っていられる

ずっとずっと
俺が淋しさに負けてしまわないように...

「はなさないで…」





わたしの手を握っていてくれれば良いのに
(その手離さないで)
(俺にはもう力が無いから)
(君が離さないと信じることしか出来ないから)
(そうじゃないと俺…寂しさに負けてしまうから...)






  あとがき

どうも管理人です
3月お題小説4つ目です


ええと、まさかのその他がランクインしてしまったので、オムニバス形式です
赤幸です

あ、ちなみに幸村の最初のセリフ
「テニスがしたい、さもなくば死にたい」
は某画家の名言?を幸村verにしたものです。
なんでかわかりませんがこの言葉好きなんです

赤也はなんだかんだ幸村になついてればいいと思います
真田は怖いし、柳はデータを取られる上に行動が読まれてるから苦手意識とか無意識に感じちゃったりして
いざという時に頼りになる子ですよね赤也って。


握力が無くなった手に赤也は色々悩んだ挙句結局言っちゃう。だって聞かなきゃわからないから。
幸村も赤也のそーゆーとこは分かってるけどやっぱり言われちゃって思うところがあったり…
でも赤也はそーゆー子って分かってるから何も言わない
赤也に甘い幸村とかいいと思います←
次期部長として厳しくする面は厳しくして、それ以外は溺愛とかだったら萌えます。私が





アンケート結果は以下の通りでした

2位:その他立海CP
投票:64票

コメントを下さった皆様ありがとうございました
そして投票してくださった全ての方々、本当にありがとうございました


それでは最後まで読んでくださりありがとうございました


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