裏切り者 【茶髪if】 浮気症山下シリーズ 「山下の浮気相手が南だったら」 息が止まるかと思った。 なあ山下? お前にとって此処は、どうでもいい場所なのかも知れない。たかだか大学のキャンパス内の一角。人気のない一脚のベンチ。だけどここは、オレたちが二人だけの時を重ねた場所だったのに…… けれど仕方ないと思ってた。 そこに座っているのが女なら。 柔らかな肌も、丸みを帯びたシルエットも、オレにはないものを持った、本来お前が向き合うべき性別の人間なら、諦められた。 仕方ないって オレが我慢すべきだって あるいはオレと同等の性別の人間でも、例えば平凡なオレみたいなひとでなければ。 だけど、 いくらかこれは、 ――――酷すぎないか? 「……ッ」 たしかに初めは、2人が一緒にいるのを見ているのが楽しかった。それは山下にとっては不本意で、お前にとっては計算だったってことか。 息を飲んで踵を返すオレは、さぞかし滑稽だろう? なあミー君。 山下のキスを甘受しながら、 オレに向けて嗤(わら)う君を 友だと思ったのは、オレだけ 君はただオレを 邪魔者として見ていた ―――裏切られたのはオレ 裏切ったのは、誰? 「裏切り者」-END- ★ ←→ |