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 そんな瞳で俺をみてくる櫻井さんに愛しいという感情がわきあがって止まらなかった。

「名前、教えて」
「そうしたらお前はもう逃げられないよ」
「櫻井さん」
「    」

 耳元で、名前を囁かれた。
 彼の、名前。

「あっ、あッああ!!さくら、いさっ…!!」

 咄嗟に伸ばした腕が彼の背に回り、圧倒的な質量に悲鳴をあげてしまいそうになる。

「やっやあああ!!」
「落ち着け、洋平っ、大丈夫だからっ」

 ぐっと強く抱きしめられて、それでも痛みに苦しみながら、彼は腰を進め続けた。

「さっくらい、さッ…痛、いたいっ」

 泣きながら訴えても、彼は口付けをくれるだけ。だけどそれだけでも、体から力が抜けていった。

「残り、挿れるぞっ」
「やっ待って……ッ」
「しがみつけ!!」
「―――っ!!」

 じわじわとした侵攻の末、最後は残りを一気に突きこまれた。声にならない悲鳴をあげて、彼の背中に爪をたてる。
 荒い息に、彼が何度も髪にキスをくれた。


「全部挿入った……」
「はっ、は、さくらいさんっ」
「お前さ、名前教えてやったんだから呼べよ」
「んっ……ゆーすけ、さん」
「裕介」
「ゆー、すけっ……あ、あっ、まだっだめっ、んあっああ!!」

 名前を呼んだだけで膨張した彼の雄がゆるやかに動き出した。耳元に荒い彼の息が熱い。

「はっふああ!んっ、ゆー、すけっ!すき、っすき!!っああ!だめっ、ソコはッ、あッきもちい!!」

 的確にあの場所を突かれて、声を押さえられない。徐々に激しさを増す律動に途切れがちながら思いを告げる。そのたびに膨れる雄が、俺の思いに答えてくれているようだ。

「すきっ、ずっと、ん、あああ!ずっ、と見てた!」
「はあっはっ洋平っ」
「あっ激しっんふああッひあ、や、あ、ッあン!」
「洋平ッ」

 名前を呼ばれる度に感度があがる気がする。気持ちよさがハンパなくて、もう耐えきれない。
 だから言葉がこぼれて。しまったと気づいたのは一瞬で、快楽の波にもまれて意識がとぎれてしまう。

「イきたいっ、イっちゃ、あっゆーすけっ!」
「俺も、もう、やばい」

 ぐちゅりと爆発寸前の息子を、動きと同じリズムで抜かれる。目の前に火花が散り始め、涙があふれて止まらなくなった。

「ああンっあっイくッ、イく―!!」
「洋平っよーへッ、俺も、好きだ」

「ァァあああ!」

 小さくかすれた声が耳元に聞こえると、一気に俺は爆ぜた。それと同じタイミングで体内に熱を受け取ると、なぜか幸福感に満たされた。

「洋平……、好きだ。もう誰にも触らせない」

 こめかみにキスされて囁かれた言葉に頷いて、俺はゆっくり目を閉じた。

 ずっと見ていた。
 目があった気がしたら心臓が跳ねて、嬉しくて仕方なくて。だいすきがあふれて仕方なくて。

 聞こえた言葉が、今、なにより嬉しい。あらがえずに意識がどこかに消えていった。





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