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突発雑記帳
続・花火大会

 ガタンガタンと音をたてて走る電車に乗って、人の多さに眉をひそめた。いつもはそんなに混まないのに、今日だけは特別に混雑している。

(仕方ない……か)

 今日は、花火大会だから。

 地元では有名な花火大会は、メディアに紹介されるような規模ではないけど、地元の奴らはこぞって出かける夏の定番イベントだ。
 夏と言えば花火大会。花火大会といえば浴衣。みたいなかわいい浴衣の子がいっぱいいて目には優しい車内だけど、

(チッ。リア充なんて吹き飛べ)

 あいにく彼女がいないオレにはただの混雑だ。

 オレはただバイトに行くだけだっつーのに。なんでザワザワして浮き足立ってる電車に乗んなきゃなんねーんだよ。くそう。

(あーあ、オレも去年はそっち側だったのに)

 ハァ、とため息をついたと同時に電車は駅に到着し、花火大会へ向かう人をさらに飲み込んだ。
 そこそこの規模な駅だから、乗る人数も多い。押されて車内の奥の方に移動しながら、オレは目を見開いた。

 明るい金髪に、耳はピアス。
 シルバーフレームの眼鏡。

 しゅっと整った顔に、
 それなりに高い身長

 そして、ピッと伸びた背に
 凛とした空気を纏う――和装

「―――会えた」

 1年前の今日、出会ったあの人に間違いない。

 見開いた目がゆっくり細くなる。口角がゆっくりあがる。

「ともだちに、なりたいな」

 呟きは彼に届かないだろうけど、ぶつかった視線に彼も目を見開いたから

(……脈アリ?)


 この時のオレは、来年の今日、こっそり彼の手を握ってこの電車に乗ってる自分を、知るよしもない。


「続・花火大会」-END-

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あきゅろす。
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