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突発雑記帳
感情論

 春にクラス替えをして、あっという間に夏休み。
 仲いいやつも知り合いもほとんどいない新しいクラス。どんよりしていたオレに神様が与えた運命の出会い。
 こいつとは一生つるむだろーな、親友になっちゃったなー、なんて。そんな風に思えるやつと出会えたのに。そう思ってたのに。

「ッ、わり」
「ん?なにがー?」
「ぐらっとして、肩あたった」
「はぁ??」

 首を傾げる親友。今までこんなことじゃ謝りもしなかったし、むしろどっか常に触れてたよーな気がするし。
 どーしたん?とか聞きたげな親友。やめてくれ、答えられない。


 それは一瞬の出来事だった。

 部活終わりに弁当箱を忘れたって思い出して戻った教室で、お前が女とキスしてた。たしか去年おんなじクラスだって言ってた、ナントカさん。
 ナントカさんとキスしてイチャイチャして、手を握って帰って行く親友をみて、オレの中の何かが変わってしまった。
 色さえわからないほど、ほどけないほどぐっちゃぐちゃに絡まった感情が、オレの思考をどんどん奪ってく。

ーーーだから……

 今までと同じには、なれない。

「最近元気なくないかー?」
「夏バテだよ」

 どうしてこうも感情が先行するんだ。ぐちゃぐちゃの感情を持て余して、余らせた分だけ、お前と距離が開く。
 あんなに近かった親友との距離が、ほんのほんの少しずつ離れていく。ほんのほんの少しずつ表情がぎこちなっていく。
 わかってる。自覚はしてる。本当に、自分の狭さに嫌気がさす。

ごめん、親友。
 どうにかするから。
  どうにかするから、
   あともう少しだけ
    ちょっと待ってて。




「感情論」-END-

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