突発雑記帳
クラスのあの子
「じゃ、じゃあ今日はちょっと早いけどこれで終礼はおしまいですっ。日直さん、号令」
「はいっ。きりーつ、礼」
……ほんと、早い。
担任は気の弱い政経担当のおっさんだけど、いやお前一応教師だろ、とツッコミたくなる。さっきから担任の、というかクラスの大半の生徒の意識が一ヶ所に集中している。
窓際の一番後ろの席。今時なにそれっていう気合い入ったリーゼントの男が、まっすぐ教師にガンつけてんだから。そりゃ気になるだろーしビビるかもしれないけど。
うちの学校は私立のマンモス校。一学年14クラスとかあって、あ、男女共学です。特進クラスとかはないけど、クラス分けは学力順。
S組が別格の天才集団で、A〜Kがまあ頭いい奴からちょっとバカな奴ら、XとZは救えないレベルのバカと、勉強を放棄した不良っていうクラス分けをしてる。
うちはB組だから、そこそこ頭がいいわけで。Zなんていう不良のたまり場もあるから、普通のクラスにこういうヤツが来るのに免疫がないんだ。
窓際のリーゼント――木城は見た目通りのやつ。友人はZに集中してるらしくて、そっちのクラスに入り浸ってる。ただし授業の出席率は高くて、授業中は教師にガン飛ばしてて先生からの評判は最悪。
……かと思えばそんなに悪くないから不思議。日直の号令でちゃんと立って頭下げてるしな。
「あ、そうだ、委員長! 世界史の峰岸先生がノートを集めてもってくるようにって」
「――わかりました。じゃあみんな、教卓に出してもらえるかな?」
くそ峰岸ふざけんなテメェの授業で集めろよ、と内心で悪態をつきながら笑顔を浮かべるオレはそんなB組の学級委員長だった。
「クラスのあの子」-END-
優等生ぶりっこ(内面平凡)と
不良な外見のいい子の話。
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