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黒髪男子の心情
3

  まーさんが一瞬驚いた顔して、すぐまた爽やかフェイス作って笑った。

「みなみ、久しぶり」
「よう」
「元気?」
「まあまあ」
「そっか」

  にっこり。笑うまーさんに、南も一応は笑う。まあそんなに愛想悪いわけじゃないけど。

「で、太一くんはオレとカラオケ行ってくれんの?」
「あー……んー……」
「なに?カラオケ?」
「そーそー。なんか歌いたい気分でさ」
「へえ」

 ミナを通り越して声をかけてきたまーさんに、山田が答えを詰まらせた。いらっとする。つーかいらっとした。
  そしたらチラッと見てきた南と目合って、どーやらフォローされたらしい。貸しかな、コレ。

「そしたらさ、オレの兄貴がバーやってんだけど、そこにカラオケの機械あるし、みんなで行かね?」
「え、南って兄さんいるんだ?」
「え、あそこってカラオケあんの?」
「うん」

  がっつりタイミングかぶった山田とまーさんの問いに一括で頷いた南は、それから放課後の集合場所と時間を決めて、さくっといなくなった。

「じゃ、あとでな」
「おう」

  オレも片手あげてその場から去ってやった。オレの顔もまーさんの顔もいらっとさせなくてすんだ山田は見るからにほっとしてやがる。うっざ。
  たぶんそう感じたのは、オレダケジャナイ。



***


「まあこーなるよねー」
「んー……」
「つうか絵が寒すぎるだろ。なんでみーくん眉間にしわ寄せてまでここで寝んの?」
「愛じゃなーい?なんだかんだ南も太一のこと好きだしー」
「なんすかそれ」
「趣味だって似るワヨ、兄弟だもの」
「なんすかそれ」

  はぁっと脱力した山田の髪をまーさんが撫でてる。櫻さんの目は優しいし。っつーかミナにいたってはなぜか膝枕されてるし。

  がっこ終わって集まって櫻さんの店きて、てきとーに歌って飲んで食って。
  やっぱ早々に潰れたミナは何故か山田の膝に頭のせて寝はじめた。いつもは遠くのソファーまで行くくせに。
   んでオレは尿意を催してトイレに立った。時間もそんなにかかってねー。なのに、山田の隣のオレの席はまーさんに詰められてて、居場所なくなってる。
  ありえねー。まじ、ありえねー。

  つーかさ、これオレ怒っていいよね?  つーかさ、あの男、オトコにモテスギジャネ?  なんなんだよ。つーかさ、

「山田、」
「は……んッ!?」
「つーかさ、コレ、オレのだから。手出すなよ、殺すぞ?」

  とか言って、山田の頭無理やり引っ張ってちゅーとかしてまーさんのこと牽制するのなんてさ、仕方なくね?

  ってオレは思ったんだけど。

  山田はいっしゅんぽかーんってして顔赤くして、すぐ顔青くして、膝に乗ってたミナなんか無視してトイレに走ってって。
  山田がいなくなったことでようやく目が合ったまーさんは、もうぽかーんどころじゃない間抜けヅラしてて。
  それにガン飛ばしてたら櫻さんが耐えきれずに吹き出した。


  結局まーさんに彼女がいないっつーのはオレの勘違いで、もう5年付き合ってる女がいるっつーのをガンギレで席に戻ってきた山田に教えてもらいまして。かれこれ3日間、山田にシカトされてます。
  嫉妬なんてするもんじゃねーな、まじ。っつーかでも、嫉妬させてくる山田が悪くね!?


「ワルモノは誰だ」-END-

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あきゅろす。
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