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黒髪男子の心情

「ンっ、だからッ、はンっ、お前っ痕つけす、あ!」
「ん?」

 ん?じゃねぇ!! くびかしげんなかわいいよ!!
 あのあとベッドに連行されて、すぐにキスが深くなった。目つむって応戦してたら、ふいにキスが止んで、びっくりしてたら山下が服を脱ぎだした。それを手伝って笑って、また押し倒されて、首につけられたキスマークの上に吸いつかれた。
 そっからまあいろいろぬるぬるっとさせられてーの?ずるっと立派なのを突っ込まれーの?まあ今に至ります。
 ああもうこれオレが当事者じゃなかったらまじで萌えるのに!! なんでオレが萌えを提供しなきゃなんねーんだよ!!なんて思う余裕すらないという。悲しい。
さっきからガンガン突くのを止められてゆるゆるいたぶられつつ、ピリピリとやばい数のキスマークつけられてるオレです。特に首まわりまじでやばそう。まさかのタートルネック生活の予感です。

「も、やだっ出したぃ……っひ!ぅああ!!ン、ン、あっんン!」
「たぎるーやめてー」
「ぅあああっや、やめっ、ひぁああっ」

 緩い刺激のゆるさに耐えきれなくなって腕を伸ばすと、ちゅっと二の腕にキスしてきた。そのままピリッと痕まで残したと思えば、一気に律動が激しくなる。
荒い息が耳元にかかって、山下が笑って余裕みせようとして失敗してるとこにキュンときてしまった。もはや末期だな。
 しかしからかう余裕なんかない。ガンガン突かれて、でもオレ生粋のガチホモでもバリネコでもないからところてんなんかできねぇし。まあつまりこの強すぎる刺激に限界寸前なわけですよ、ええ。耐え切れなくなって、恥も全部捨てて、っていうよりもう何も分かってなかったけど、山下の耳元で触れってゆったらまた笑われた。くそっ

「えっろ」
「ああもっうるせッ、てめも、さっさと、ン、イけ!!」

 ぐちゅぐちゅという音が耳に響いて、山下の息の荒さが体にかかって、もうなんもわからん。ただきもちいい。はやくイきたい。山下にもはやく出してほしい。
 強く背中を抱き寄せると、山下がまた首筋に歯をたてた。そんなにやだったのか、ごめんなって頭の片隅で思うけど、いちばんきもちーとこを思いっきり突かれて、すげぇ声出しながら、すげぇ勢いよく出してしまった。

「はッ……」

 それとおんなじくらいの時に、山下も薄いゴムの中に出したみたいだ。強く抱きしめられて、のしかかられて、オレらは荒い息を交わした。

「たいちー」
「・・・ん?」
「もう二度と他のヤツのキスマークとかつけてくんなよ」
「大丈夫だって。男襲うような人櫻さんくらいしか知らないから」
「だから、その櫻さんに気ぃつけろっつってんのー」

 ずるずるっと実が抜かれて、思わずんっとか変な声だしちまったじゃねぇかあああ!なんて真っ赤になるほどオレはバカじゃない。何もなかったことを装って、山下に手を伸ばす。

「腰たたん。風呂つれてって」
「ぶっ、なにそのかわいい感じ」

 よっこいしょ、とかいいながら山下はオレを半ば担ぐようにして風呂場へと引きずっていってくれた。感謝。
 全裸でたどりついたユニットバスで、鏡に映る自分に死ぬほど驚いた。オレ至上最多キスマークだぞ、これ。山下を見ると、くっそ、超ニヤニヤしてる。すげえむかつく。

「くそ!お前これどーしてくれんだ!」
「え、牽制?」
「まじ冬でよかった。毎日タートルネック着よう・・・」
「だっせー」
「うるせえ、誰のせいだ!」

 いらいらする。いらいらする。いらいらするから、

「ぎゃー!てっめ、タイチ!痛ぇよ!噛むな!」
「おがげがっげ」
「そのまましゃべるな!痛ぇよ!」

 噛み付いてやりました。えへ。
 あ、でも見えそうで見えない首筋を選びました。えへ。

「お前だってオレにこんだけ痕残したんだから、オレもお前にマーキングー」
「てめぇ語尾に音符つけたって誤魔化されねぇからな!」
「えへ」

 思いっきり頭をはたかれて、ちらっとオレの残したあとを見た。くっきりはがた。痛そうだけど。

 ちょっとした優越感は、オレだけの特権とゆーことで。



「マーキング」-END-

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