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真の悪は一人笑う/黒子、バスケ


ズルズル、ズルッ。
んー、やっぱりカップ麺は美味いねぇ〜、なんて一人寂しく呟きながらある人が来るのを待つ。そして、やっと見えた人に頬が緩む。
一気にカップ麺の汁を飲み干して、遠くにあったゴミ箱にプラスチックで出来た入れ物を投げ入れる。綺麗に入ったソレにガッツポーズを決めながらもすぐにそれを無視しながら走る。
勿論、被っているフードが外れないように。バレないために被っているんだから、見つかれば面倒かつ、五月蝿くなるのは分かっているから。



「テツヤん」
「……え」
「青峰んに負けたんしょ?」



場違いだったのか、他のお仲間さんに睨まれたけれど無視。私の目的は目の前で驚いたように見てくる陰の薄くて、何気にかっこいい黒子テツヤただ一人。



「いやー、テツヤんには負けてもらってすごく嬉しかったよ」
「相変わらずですね」
「ん?私は変わらんヨー。だって、私は君達とは違うからサー」



ふざけたような口を聞けば、ため息を吐かれてしまうけれど気にしない。私はにゃはにゃは、と笑いながらテツヤんの肩を掴んで少しばかりの膨らみのある胸に顔を押し付ける。
そしてから優しく、水色の髪を撫でる。ピクと肩が動いたような気がするけれど無視。



「ねぇ、テツヤ」
「はい」
「青峰んに負けて悔しい?」
「はい。とても悔しいです」
「でもね、私は今回の試合は負けても仕方なかったと思うんヨ」
「……どうしても、仕方なかったんですか?」
「そやヨー」



だって、じゃないとテツヤんは不敗が生まれやせんヨ。と言えば胸に顔を埋めていたテツヤんが驚いたように顔をあげた。私はその顔を見ながらまたもやにゃはにゃは、と笑う。



「忘れたんサ?テツヤんもキセキの世代の一人やんヨ?負けないとあかんサ」
「……」
「パス回しが上手い程度でいい気になるな、というの言いたかったんだよ」
「っ、」
「意味分かるよね?」



変な訛りを無しに話せば、眉を寄せて苦しそうな顔をするテツヤの額を叩いた。
だから、負けて良かったんだ。とテツヤにしか聞こえないように呟いてから離した。



「鈴さん!」
「んヨ?」
「僕は…、あの……」
「だぁいじょうぶサー。テツヤんは強くなるヨ?」



あの負けなしの馬鹿にもサー、と言いながら笑う。笑ってから二歩、後ろに下がってフードを外した。
髪が顔に掛かるのが鬱陶しくて払いながら、手を上げる。



「負けた人は悔しくて、もっと成長しようとするから、それが君の…いいや、君達の光と影を強く濃くする」
「はい…」
「おい!」
「んヨ?」
「なんなんだよ、てめぇは!いきなり黒子に抱きついたり、負けて仕方ねぇって!!」
「火神君、やめた方がいいです」



止めんじゃねぇ、黒子!なんて騒いでいる身長の高いその子。私はにゃはにゃは、と笑いながらその子の胸ぐらを捕まえて背負い投げをした。



「テツヤん、こいつ…殺ってもいい?」
「駄目です」
「えー」
「火神君もいきなり喧嘩を売ったりしないでください。鈴さんはすごくタチの悪い人なんですから」
「なっ」
「テツヤん、傷つくなぁ」



にゃはは、と笑えばテツヤんには目が笑っていない、と言われるけれど無視。気にしていたら面倒かつ五月蝿くなるからね。



「えー、と。火神君だっけ?私は帝光バスケ部のマネージメントをしていた鈴と言います。基本的にはなーんにもしてないけどサー」
「してたじゃないですか」
「あれはただの桃んのデータをまとめて、攻略法を見いだしただけヨ。赤司んの指示ばっかで殆どなーんにもしとらんサ」
「それでも、僕は救われたところは沢山あります」
「にゃはは。私はそないにいい人じゃないヨ?みーんなの成長を潰そうとしてたしサ」



そうなんですか?と粒羅な瞳で見て聞いてくるテツヤんに胸の奥が高鳴るような気がしたけれど、無視。桃んのライバルになるのは嫌だし。
それにあのナイスバディーに勝てる気もせん。



「んヨー。潰して、潰して、高校になったときに爆発してもらおうと思ってサー」
「やっぱり、鈴さんは嫌な人です」
「いい人なんていないヨ」



特にこんな風に笑っている人はサー。と言いながら未だに倒れているテツヤんのお仲間さんを見て、手を差し出す。掴むはずもなく、立ち上がり睨んでくるから笑う。



「あ、テツヤん」
「はい」
「もしも赤司んを倒せたら」
「…?はい」
「今度は私を倒してネ?」
「意味がわかりません」
「そのまんまの意味サー。キセキの世代という四天王+αを倒したら、ラスボスを倒さなきゃクエストは終わらんヨ?」
「ラス、ボス…?」



不思議そうに意味の分かっていない顔をするテツヤんに顔を近づけて笑いながら言う。
キセキの世代、なんてダサい名前をつけた私を倒さなきゃ、と。そしたら驚いたようにこっちを見るテツヤんに笑う。



真の悪は一人笑う

(あー!鈴ちゃん!)(あ、桃んサー)(ゲッ)(青くそやー)(青峰だ!)(そないなこと知らんサー)(てm(どうしてここにいるの?確か、鈴ちゃんって赤司くんの所に行ったんじゃ)(目潰しして来たんヨ)(((…え?)))(ぐちゅりと殺って逃げとるサー)

(((相変わらず、仲がイインデスネ)))(にゃはーはー)(何処が!?)

(+αって俺のことスよね)(当たり前なのだよ)(……)



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