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キスして逃げる/暦、偽物語


目の前の男が私の名前を不思議そうに呼ぶ。不思議、というかただ驚いた顔をしている、と言うべきなんだろう。



「ねぇ、あららぎくん」
「ど、どうして…」
「あぁ、今の状態が理解できてないのかな?言ってあげようか?私の口から」
「いや、言わなくていい。言ってほしくない。言われたら、認めなきゃいけなくなる」
「あら、意外ね。言ってくれ、といわれると思ったのに。説明を求めると思ったのに」



クスクス、と笑い近づく。壁に追いやった彼にゆっくりと近づく。息と息が近くて暑くて、熱い。
目を細目、笑う。



「私は今アナタを攻めているの」
「言わなくていい!言わないでくれ!!」
「アナタを奪おうとしているの」
「っ、だ、だから…」
「まあ、奪っても私に良いことなんてないけどね」



なら、やめろよ!と騒ぐ姿を見て、また笑う。嘘よ、と言って離れる。離れたら阿良々木は溜め息をついた。その溜め息を私が飲み込むように口を添えてやる。



「んっ」



ごくり、と喉が鳴るのが分かる。それに鼻で笑いながら口を離した。
ゆっくりと身を翻し人差し指を口に付け、彼に向かってウィンクをした。



「ごちそーさま」
「っ、鈴!!!」



私の名前を叫び、暴れる彼を無視して笑いながらその場から逃げる。



キスして逃げる
(さーて、あとであの子にばらしてみようかなー)(あ、そうしたら死んじゃうか)(モテモテのあららぎが悪い、)







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あきゅろす。
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