発せない言葉/スレ綱、復活
苦しい。ひゅうひゅう、と自分の喉が変な音を立てて息を吸っていることに夢を見ているような感覚のまま、他人事のように考えていれば耳に誰かの声が聞こえてきた。
誰の声だったっけ、知っているはずなのに分からない。
声を出してダレ、と聞きたいのに声が出ない。出るのはひゅう、という音だけ。
「だいじょうぶ?」
「……ひゅ、」
「ああ、そう言えば喉潰したんだっけ?声は出ないだろうから頭を動かす…のも、無理だね」
頭を動かせない。体も何もかもが思い通りに動いてくれない。
なんで、どうして、と思いながら霞んで見えないけど声のする方に目を向けて口をパクパクと動かしてみる。
そうしたら口に何か触れる。暖かい、何か。
その感触に眩暈がする、と思っていたら口の中に何かが流れ込んでくる。
「内蔵もあまり機能してないから食事はいらないだろうけど、栄養をとらないと死んじゃうからね」
「…っ…ゅ」
「だいじょうぶだよ」
口の中に流れてきたモノが喉を焼くような痛みを生んで咳き込みたいのにできなくて、苦しい。
「俺がこうやって食事を与えてあげるから」
「一生、一生ずっと」
「ねぇ鈴さん」
「俺の名前を言って?」
ぐにゃりぐにゃりと霞んでいた視界が余計歪んでいく。
目の前にいるはずの人を見たくても、見れない。
何かを言っているのにそれさえも聞こえなくなる。
「ねぇねぇ」
「また寝るのか?」
「いつになったら俺のことを見てくれるんだ?」
「いつになったら前みたいに笑顔を見せてくれるんだ?」
「なあなあ、鈴」
「好きだよ」
ぶるり、と身体が震えて喉の焼け付くような痛みが増していく。
気持ち悪い、気持ち悪い
誰か、助けて
助けて、
「泣かないで、鈴。俺が守ってあげるから」
「俺以外の人から」
「守ってあげる」
「だから、ずっとずっと俺のそばから離れないで」
この人から
タスケテ
発せない言葉
(あぁ、逃げたりしたら傷つけちゃうから)(絶対に)(絶対に逃げるなよ?)
ーーーーーー
ヤンデレ、なのか?
まあ、とにかく危ない子!
ってか、名前が呼ばれないから誰か全く分からない…けど、綱吉です、よ!
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