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早いバレンタイン/静雄、デュラ


クルクル、と人差し指に引っ掻けたチェーンを回す。スキップのようにリズミカルに歩く。
何となく鼻唄を歌う。



「楽しそーだな」
「ん?」



クルリ、と踊るように振り返れば金髪がいた。青よりも濃いサングラスで目を隠してる男がいて私はその姿を見て、にぱっと笑う。



「静雄!」
「お前、ブクロに帰ってきてたのか?」
「うん。帰ってきてたの」
「そうか」
「あ、幽にも会ってきたんだー」



私はニコニコと笑ってるけど、静雄はいつもと変わらない無表情に近い顔でコクコクと煙草片手に頷いてる。
昔から全然変わらないなぁ、と思いながら笑う。



「えー、と、幽がねー…」
「あん?」
「兄さんに渡して、ってこれ預かったんだけ、ど〜…」



そう言いながら、背負ってたリュックをおろして中を漁る。
綺麗な箱を取り出して、静雄の前に差し出した。その箱を見て静雄は頭を傾けた。



「なんだ、これ」
「中見れば分かるよ、静雄」
「……開けて、いいのか?」
「開けなきゃ中身、分からないよー?」



そう言えば、静雄は無表情に近い顔で“それもそうだな”って言って箱を開け始める。
それを見ながら、ゆっくりと静雄に近づいて背伸びをする。静雄の肩に軽く片手を乗せて、頬に唇を寄せた。



「ハッピー、バレンタイン」
「っ、鈴…!?」



驚いて固まる静雄の手から幽のプレゼントが落ちる。その中からシルバーのチェーンが覗くのを見ながら、にこりと笑った。



「めちゃくちゃ早いバレンタインデーの贈り物だよ」



私と幽からの、と言えばいつもの静雄とは思えないぐらい真っ赤な顔をする。




早いバレンタイン
(…、お前、そーゆうのは好きな奴にしろ)(なら、問題ないよ)(っ、)(大好きだよ、静雄!)







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あきゅろす。
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