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19話 出発04


『貴方の言いたい事は判りました……ですが、そんな便利な物がありますか?』

「ああ……以前知り合いからある物を受け取ったんだ」

 フレアンは懐から何かを取り出した。それをテーブルの上に置く。置かれた物は小さなアクセサリ。ピアスの様にも見えるが、針が無い。ボタンの様にも見えるが、糸を通す穴も無い。

『これは……?』

「何でも、西の大魔導師が発明した物だそうだ。ブルーレース……と言っていたな。精霊の力をかなり制御出来るらしい」

 カルロはそれを不思議そうに手に取る。カルロも知らなかったのだろう。それは当然の事で、カルロは大昔の事は知っていても、最近の事はあまり知らない。
 文化は進んでいくものだが、その速さについていけてない。それをおじいちゃん扱いすると怒るが。

「精霊が自分でつけても効果は無い、何かのエレメントを持った人間が付けてやると、そのエレメントを媒介に作動するそうだ」

『そうですか……では、貴方に世話になるのですね』

「そうだが……そんな嫌そうにするなよ」

 まさか目の敵にしていた相手の施しを受けるとは……彼のプライドが許せない。けど、それも果てはコウの為……。そう思い、ブルーレースによる力の制御を甘んじて受けた。


「何か変わった所はあるか?」

『いえ、特には……! ああ……これはちょっと』

「何だ? 苦しいのか?」

『……疲れますね』

「そうか……しばらくは我慢しろよ……」


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 その後コウが帰ってきたとき、平静を装う二人に逆に違和感を感じた。だが何を聞いても『何の事ですか?』とか「早く支度しろ」って答えしか返ってこなかった。



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