20話 港町リノア05
トイレから帰る途中、宿の人に朝ご飯の支度が出来ていると言われた。お腹がすいていたし、なによりさっきの雰囲気に戻りたくなかったので、これで気分転換しよう。そう考え、元気よく部屋のドアを開けた。テンション上げて上げて……
「フレアンさーん! 朝食出来てるんだって、食べに行こうよ」
「ああ、すぐ行く」
思いっきり上げたテンションを、しっかり下げてくれる青年。これはこれで帳尻あってるのかな?
彼は普段通り上から下まで真っ黒な服を着ていた。金のボタンが飾りで付いているが、他にはなにもない。淡白な服装なんだけど、彼が着ると凄く良い。
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朝食も済ませ、出発の準備をする4人(正確には2人)。
「カルロって皆に見えてるの?」
『見えるわけないでしょう』
即答だった。そこまではっきり言わなくてもいいじゃないか。見えるわけが無い、か。そういえば誰だったか「精霊は普通見えない」って言ってた様な気がする。(アモン君です)
『今の私は殆ど力がありません。私の姿が見えるのは貴方とそこの根暗男だけです』
「(根暗?)ふーん、確かにフレアンさんにも見えてるよね。あれ……え? ちょっと待って」
『? どうかしましたか?』
「いや、今まで何で他の人にカルロが見えてたのかなって。ルーンは古の神だもん、強い精霊は人間に姿を見せれるでしょう? けどカルロは……」
カルロは、強いかもしれない。けど、誰もカルロを見て驚いたりしていなかった。クリスさん、マリアさん、アモンさん……皆に見えてたのに、誰も不思議に思ってなかった。皆カルロが強いって知ってるの?
『強さの程度を数字で表す事はできませんから、上手く伝えられないかもしれませんが、本当に弱い精霊は人間のいる所には来ません。普通の精霊は、契約した人間にのみ見えます。そこそこ強い精霊は、逆にその溢れる力を制御出来ずに無駄に姿を曝けてしまいます。それくらいまでの精霊なら普通に居ますよ』
「な……なるほど。カルロは解りやすいなぁ」
『本当に解ってるのかどうか。まぁ、人々に珍しいと思われているのは、姿を見せたり隠したり出来る精霊でしょう。そういう精霊はあまりいませんから。シルバーレイをご存知ですか?』
そう聞かれ、一瞬考える。確かアモン教皇の契約精霊だった。そういえば以前、最悪な寝起きをプレゼントしてもらったことがあるや。あいつか。
「うん、言葉遣い酷かったよ。態度も」
『あれはそういう性格ですから。シルバーレイは力の殆どを契約者に委ねています。本来なら姿を自由に変えられる程強い精霊なのですが……彼は剣に定着している状態で、彼自身が使える力は弱いものです』
「定着した剣の方は恐ろしく危険だがな」
話の途中でフレアンが入る。アモンの話だったからだろう。カルロも彼の発言に頷く。コウはただ二人の話を聞いていた。
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