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〜龍と刀〜
陽の休日V
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「おーい……次はどこ行くつもりだーって聞いてねえし」

陽の両手にはレジ袋が四つ程。
二つは、食糧。生鮮食品などの口に入る物。陽の家の分と月華の家の分だ。
残り二つは、衣類だ。自分で買ったのもあるのだが、わざわざ月華が二つに分けた。
赤面しながら全力で拒否していた。そういえば、何やら小声で言っていたような気もしないでもない、と記憶を探ってみたが分からない。

行き着いた先は大型ショッピングセンター……デパートである。
先程から微妙に距離を開けて歩いている月華。
突然、くるりと振り向きこう告げた。

「ちょっとそこで待ってて!早く戻ってくるように頑張るから!」

そうして、走って行ってしまった。

「俺、何かやったか?まあいいや。とりあえずベンチもある事だし……休憩するかな」

荷物をドサッと下ろし、腰掛ける。

「師匠、どこに居るんだろうな……まったく、溜め息ばっかだ」

ぼーっと店の天井を見つめ、溜め息混じりに自分自身に呆れてみる。
自分が狙われているのに他人の力を借りようとしている事が陽にはあまり気に入らなかった。

「やあやあ、龍神じゃないか〜。あんま溜め息ばっか吐いてると、幸せだって逃げてくよ〜?」

声のした方に顔を向けてみると、店のエプロンを着用した男が目の前に立っていた。
満面の笑みで。

「久し振りだね〜。1ヶ月位かな?」

「はあぁ……何してんですか、先輩。ってか、あんた一週間近く学校来てなかっただろ!?せっかく情報料の耳揃えて、支払いの準備までしたのに!」

先輩と呼ばれた男は、ヘラヘラと笑いながら陽を軽くあしらっている。

「あ〜、情報の収集が案外すんなり行ってね〜。だから情報料加算で、よろしく〜」

「情報次第では払いませんよ?今朝、協会からももらいましたし。それを上回るなら考えましょう」

先輩は、大丈夫!と良く分からない自信を持っている風に胸を張る。

「協会のやつは、どうせ聴取でしょ?多分、魔術師がどーのこーのだとは思うけど……ボクのは、アレだ。読心術によるほぼ完璧なモノ。えっと〜確かポケットに……」

ゴソゴソと上着のポケットを探り、取り出したのは小さなメモ帳。
『御門流情報メモ帳!』と殴り書きされていた。
『御門流(ミカドリュウ)』は忍者の血を代々受け継いでいるらしいが、陽も聞いているだけで内情がどうなっているのかは知らない。
先輩こと御門 幸輔(ミカド コウスケ)は、今の頭首の孫だとも聞いている。
陽はその隠密行動の部分に注目し、彼に情報を集めてもらっていた。

「まず、『永遠の闇』ついて〜。罠に嵌った一匹に読心術使ってやった結果、魔物以外にも、種族……特に魔族とか西洋方面のやつがかなりいるらしいよ?そいつの知ってるだけで三十万弱!いや〜恐ろしいね〜。それだけ本気って事なんだろうけど?」

「三十万……」

魔物が束でかかってきてもそんなに苦は無いが、種族が絡んでくるとなると話は別だ。
種族には知恵が有る。長年培ってきた知恵は、時に力さえ凌駕する。

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あきゅろす。
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