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〜龍と刀〜
驚異の連携に……
息ぴったりな三人の動きに、陽はただ呆然と立ち尽くすしか無かった。

「なあ、お前ら練習でもしたの?じゃないとあんなちょうど良いタイミングで攻撃出来る訳ないだろ」

近寄って来た魔物を斬り伏せ、その隣で同じく奮闘していた月詠に疑問の声を投げる。

「あの程度、出来て当然だろ?むしろ出来ない方がおかしいな」

あっさりと言いのける月詠。彼女の言う事はもっともな事だが、それこそ難しい話だと思う。
考え方も違うであろう人間が、そう易々と仲間の動きを理解して動く事は普通は出来ない。

「ふむぅ……仲間を信頼しているなら容易な事だとワタシは思うがな?なあ、白銀よ。そうは思わんか?」

「確かにそうだな。しかし陽は常に一人で相手に対峙していたからな。仕方ないと言えば仕方ない」

「え、何?俺がおかしいのかよ?」

二人の会話の流れからしてそういう解釈に至る。

「そう思うなら、あの輪に参加するのだ少年。きっと面白い−−良い勉強になるだろう」

「今、面白いって言いかけなかったか?まあ、良いんだけどな……」

「それでどうするのだ?まさか自身の話なのに仲間に任せるなどという馬鹿げた事をする気ではあるまいな?」

訝しむような月詠の目に、陽は行動で答えるために白銀を構えた。
幸輔の分身や紗姫の影、アスラの拳が飛び交う中、どういう風に入り込もうかと思案する。下手をしたら誰かの攻撃に真っ先に巻き込まれて自滅してしまう可能性すらあるのだ。

「見てるとイライラするな……ほら、さっさと行け」

「っ、おい!押すなって!」

そんな陽の考えなどお構いなしに月詠は背中を無理矢理押している。普段の月華の力ならこんな状態にはならないのだが、さすがは元神族。無駄に力まで増大されているようだ。
月華の身を守れるのは良い事なのだが。

「ああもう!紗姫、先輩!ちょっと退いてくれ!」

押された勢いのまま、陽は白銀を振りかぶる。いつもならばここで居合いを放ち、相手との距離を取ってから追撃に掛かるのだが、いかんせん小走りの状態となっていてはそれもままならない。

「八雲〜下がった方が良さげだよ〜っと」

「分かってますよ」

迫る陽から離れ、新たに近付いていた魔物を投げ飛ばす幸輔。その先には仲間の弟子が激戦を繰り広げていたのだが、まったく気にしている様子は無い。ついで、といった感じで木刀を突き刺して消滅させるのだった。

「喰らいやがれっ」

白銀をとっさに左手に持ち替え、横合いからの一撃を見舞う。
アスラはさも当然のように宙返りをしながら回避、動作の途中に残った両足での蹴り。
軽い動きに見えたが、それを防いだ陽は数歩後ろに下げられてしまう。

「今のは連携とは呼べないでしょう」

「何だ、聞いてたのか」

「私たちの聴覚は人間よりも数倍高いのです。それは視覚に関しても言える事」

再び舞い上がったアスラは悠然と翼を広げる。

「複数戦も良いですが……、一対一で勝負する気はありますか?」

兜の中に秘められた鋭い眼光が、陽を見据えていた。それは獲物を狩ろうとしている猛禽類のよう。

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あきゅろす。
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