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〜龍と刀〜
〜回想・世之真理〜
この世には、平凡な生活を約束された者と、したくても出来ない者の二者が存在する。それは必然でもあり、理不尽でもある。
これが神の定めた理(コトワリ)だと言うのなら、多少なりと納得出来る。
平凡な生活を送れる者達は無知無能を、送れない者達は、特殊な知識・力を得た。魔術や剣術等がそれに当たる。

強大な力を有する者達は、やがて神であると名乗り始める。今現在の神社仏閣で崇拝、祀られている神々ではなく、あくまでも力的関係での神。格式上の神。
しかしその当初、神が大量に存在していた。数え切れない程だ。
彼等は、自分達と同等な存在が大量に居る事をおかしく思い、まずこの世の住人である‘人間’ではない者達に力を分け与えた。

大きく分けて、龍・鳥・獣・鬼。後に言われる種族の誕生だ。
それらも最初は少なかったが、時が経つに連れ、その数は一族を形成出来るまでに大きくなる。力は脈々と受け継がれ、規模も拡散。
これが俗に言う、神族遺伝(シンゾクイデン)である。
と、これが大々的に受け継がれている『世界の裏側』の概念だ。
表と裏の線引きでもある。
そして一族の中には、力に溺れ、神や一族に離反を起こす輩も居た。
それらは独自に魔族と名乗る。意思を捨て、本能のままに暴虐の限りを尽くす。

「じゃあ、今の俺は……考えるべきでは無い、か……この子の、家族の為の正義なのだから」

立ち尽くした男が言う。
手には刀身の長く、闇のように深い漆黒の刀を握り締め。
背には、子供が居る。
安らかな寝息をたて、眠っていた。

それから人が魔術というものを知るのも速かった。神の気まぐれとでも言うのか、偶々、偶然その力に触れ、学び、習得。これらもまた裏側でひっそりと、永い時を生き続ける。
世界の裏側、一般人が踏み入れるのは容易ではない場所にある、世界全体を巻き込む真の理。

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あきゅろす。
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