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〜龍と刀〜
修行手伝い?
*****

「……ぁ」

間延びした鐘の音とともに、魔のテストから解放された陽。
毎日のようにああいう出来事が起こるため、まともに寝られるのは学校に居る間ぐらいだ。しかも、最近は昼夜問わずに訪れる。迷惑極まりない。
ダラダラとしたホームルーム、担任の言う事を聞き流し、空を見つめる。今もどこかで、何かが起こっているのかと考えるだけで居心地が悪くなってしまう。
実際のところ、この時間帯は十六夜を主とした協会側の魔術師たちが奮闘している。特に十六夜や『御門流』の頭首は実力を兼ね備えているため、この街だけでなく、近隣の県にも出向いたりしていた。

「陽ちゃーん、今日も良いかな?」

そして、追い討ちを掛けるように月華が登場。
月詠が意識を持つようになってからは、月華の魔術の修行を手伝っている。
しかし、陽が何をするという訳ではなく、『金鳳流』道場にて十六夜が教えているのを見ながら、陽と紗姫は剣術を行うのだ。紗姫はあまり気にしていないみたいだったが、陽としては負担が物凄い。

「あぁ……別に構わないぞ」

「ホント?ありがとね!」

こんな明るい笑顔を見せ付けられると、おのずと拒否出来ない物なのだ。
それを分かっていてやってるなら話は別になってくるのだが。


*****


−−夜。
いつものように『金鳳流』門前に到着した陽と紗姫。いつもならここで十六夜が、

「貴様!また来やがったのか!今度こそ消えてもらうぞ!」

と言いながら門の上から出現するのだが、今日に至ってはその気配が無い。そして、出てきたのは琉奈だった。

「あれ?ルナさん?」

「ごめんなさいねー。十六夜さん、今日はもう出掛けてるの。さ、中に入って」

「今日も、出ましたか……」

白銀が口にしていた、何かの予兆という事も大いに考えられる。しかも『永遠の闇』絡み、つまりは陽にその何かが訪れる可能性が高い。
だが、考え方を変えてみると何か大きな事を起こすための布陣、もしくは策略なのではないかとも取れる。その辺りの情報収集は協会の方に任せっきりだ。

「場所も時間もバラバラ……これからどうなるのかしらね」

「少なくとも、良い兆しではないでしょうが。それで今日はどうするんですか?月華の修行」

琉奈は困ったように頬に手を当て、思案する。十六夜が出た時点で考えようとは思わなかったのだろうか。

「じゃあ、こうしましょう!みんなで魔術についてのおさらい。陽君と紗姫ちゃんはどう思う?」

「私は別に構いませんよ。影以外はちょっと苦手だし……」

「……面倒なのでパスします。居間、借りても?」

魔術はやる気がないらしい。最近の疲労を少しでも軽減させるために睡眠を取るみたいだ。

「ダメよ。寝るんなら、道場の真ん中にしなさい」

「何故真ん中?」

「それは……内緒っ」

子供っぽく笑顔を作るその姿は、さすが月華の母親だなと感じさせる。その笑顔に妥協して、道場に向かう事になった。

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