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〜龍と刀〜
喫茶店の内容T
−−再び放課後。
担任の言った通り、今日から文化祭の準備期間らしく、学校全体が騒がしい。

「今日はとりあえず、役割分担とかについて詳しく決めていこうと思うんだけど、良いかな?」

「はぁい」

どうやら今回は井上ではなく、中島が先導していくみたいだ。信頼度では、井上よりも高いので全員が協力体勢だ。

「まずは喫茶店として、商品として何を出すか。案がある人は挙手でお願い」

「無難にコーヒーとかじゃないかな?そんなに高い物は出せないけどね」

「うん、そうだね。コーヒーっと……他には?」

手元の紙にメモを取る。井上と違って進行が上手い。
それから、いくつかの提案が出た。まずは先程言ったコーヒーを軸とした飲み物系、他にはサンドイッチなどの軽食。このクラスにしてはまともな意見だな、と陽は少し驚き。

「経費も考えると、これが限界かな……じゃあ僕なりにまとめたのを聞いてくれ」

ざわざわとした雰囲気が、一瞬で落ち着く。頭の良い人間は、やはり信頼度が違うらしい。

「えー、飲み物はコーヒーと紅茶。その場で作った方が評判は良いだろうし」

「確かにそうだよなぁ。店員から、実はペットボトルのジュースでしたー!とか言われたく無いもんな」

「イヤだなそんなお店……」

ドッキリでした!みたいなノリで言われるような店に来るのは、余程暇な人間か、事実を知らない人間だろう。

「他にはパン系のだね。井上、やっぱり喫茶店でご飯はどうかと……」

「おいおい!そりゃ無いぜ……タンパク質取ろうぜみんな!」

「……米は炭水化物だぞ」

井上撃沈。周りは陽からその単語が出た事にびっくりしているみたいだが。

「龍神が分かってるだと!?」

「ちょっと待て、それはどういう意味だ?俺だってそんくらい知ってるって!笑うなぁ!」

脳力レベルが井上と同等に見られていたのは心外だったが、これで上だということが証明された。

「それで、異論は無いかな?」

そんなやり取りをしている内に段階が進んでいたみたいだ。次の議題は値段。

「元は取らなきゃいけないでしょ?だったら先に材料の値段が分からないと」

「それなら、ちょっと遠いけど、業務スーパーが良いよ。あそこなら安くて量も多いからね」

「へぇ……月華、良く知ってるわね」

買い物に関しては、男子よりも女子の方が得意だ。特に、月華は。

「じゃあ値段は次回ということで……」

「服装は俺が決める!」

撃沈したはずの井上が蘇った。そして意味不明な発言。

「一応聞いておくよ……」

「おう!黒スーツだろ、やっぱ!」

「いくら掛かると思ってんのさ」

早い切り返しに戸惑う井上。
出てくる言葉は決まっている。

「知らない!でも裏生徒会(非公式)の連中に頼んでみるから大丈夫!」

今日だけで大分広まってしまった裏生徒会だが……良いのだろうか。

「井上に任せるのは不安だね……僕も手伝わないと」

「仕方ない……俺も手伝うか。(クラス分ならどうにかなるだろ?金額的に)」

珍しく陽が自分から動いた。

「あ、うん。……今日でやれるとこまでやっちゃおうか」

時刻を確認し、再び皆へと向き直る中島。どうやら今日であらかた決めようという魂胆みたいだ。

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