旋光の輪舞<小説形式>
【セオラナ】おおきなひと
※ドラマCD『輝け!センコロ学園でゅお』の運動会編・借りもの競争より……。
スタートを告げるピストルの音が鳴る。
その音が聞こえた瞬間、ラナタスは地面に置いてあるプラカードを目指して走り出した。
『プラカードに書いてある事に当てはまる人を探して、ゴールまで走るんだ。わからなかったら、僕のところにおいで』
マスターであるニーノ先生から、ルールの説明は受けている。
優勝すれば、櫻子先生の罰を受けずに済む。どうしてニーノ先生やチャンポ達が怯えているのか、自分にはよくわからないが、優勝すればみんなが喜ぶ事は理解している。
喜ぶ事は、いい事。
マスターが喜ぶ事は、うれしい。
だから頑張ろうと思った。
その為にも、素早く捜索対象を選別し、協力要請及びゴールまでの誘導を実行しようと、可能な限りスピードを上げてプラカードを目指した。
「さがす……」
プラカードを拾い上げた彼女は、そこに書いてある文字を読む。
そして、不思議そうに首をかしげた。
「大きな、人?」
実に簡単な内容だ。
しかしそれは彼女にとっては、理解し難いものだった。
ラナタスは人間ではない。科学担当教員であるニーノ先生が作った、開発中のアンドロイドだ。一学生としてこのセンコロ学園に通いながら、人間により近づく為に様々な学習を行っているのである。
その学習の一つに、『言語能力』が含まれている。人とコミュニケーションを取る『会話』や、文章を理解する『読解』などが人間と同レベルまで達する事を目標に、彼女は日々学習をしている。
搭載された高性能AIとニーノ先生の努力のお陰で、本を読んだり、人間と会話ができる程度まで上達したが、まだ複雑な言い回しは理解出来ないし、行間を読み取る事も出来ない。
またその反対に、漠然とした表現に対して、情報が少なすぎて理解出来ない場合がある。
このプラカードの内容が、まさにそれだ。
(『大きな』って…………何が?)
何が大きいのか。
発想力に乏しい為、そこまで説明しないと理解出来ないのだ。
「……よいしょ」
理解不能なので、ニーノ先生に受けた指示のとおり、彼のところに行こう。
ラナタスはプラカードの柄を抱き抱えるように持つと、教師用テントまで走り出した。
到着したテントの中を覗き込むと、ニーノ先生の姿はすぐに見つかった。
彼はアナウンス席にいて、ハルモニア組のユルシュルと話をしていた。自分の事を、チビだ、ガキだと言ってからかう彼女が嫌いだ。そういつも言っているのに、今は珍しく、勝ち誇った様なキザな笑みを浮かべていた。
「あっははは! あてが外れた様だな、ユルシュル君」
「ニーノ先生……」
「いい男なら、ここにいるじゃないか」
何故だろう。今のマスターの言動は不快に感じる。
ラナタスは彼に声をかけた。
「マスター」
「ら、ラナタスぅっ!? こ、これは誤解だ! 僕は小さな子しか興味が無いんだぁっ!!」
「ちょっと待てっ、教師!!」
すかさず、ユルシュルがツッコミを入れた。
あわてふためく彼を、ラナタスは静かに見つめる。その視線が変化しない事に困り果てたニーノ先生は、苦笑してごまかした。
「それはさておき……、ラナタスはどんな人を探してるんだい?」
「大きな人……」
ラナタスは、ニーノ先生にプラカードを見せる。
「マスター、何が大きな人ですか?」
「ら、ラナタスッ!? え、ええっ、え〜と……例えば、身体が大きいとか、態度が大きいとか、いろいろあるよっ」
今日のマスターはおかしい。何故自分の発言にいちいち困惑するのだろう。今一瞬、自身の下半身に目をやっていたが、何か意味のある行動なのだろうか。
気にはなったが、今は最初の命令を実行すべきと判断し、尋ねない事にした。
「身体や態度、ですか?」
「うん、そうだよ」
身体ならば記録回路にデータがあるので、対象の選別が容易だ。そう判断したラナタスは早速、記録回路に登録されている男女の平均身長・体重など体格のデータと、マスターの身長を照合した。
(マスターは違う……)
続いて、側にいたユルシュルを見る。小柄でスレンダーな彼女も、該当しない。
「ユルシュルさん、貴女も違う……」
「今、胸見て言ったやろ……」
胸囲だけではなく、身長・体重・胴囲・腰囲も照合しました。そう言おうとしたが、ユルシュルに言葉を遮られた。
「あ〜時間ないし、アンタでいいわ」
ニーノ先生の手を掴むと、ユルシュルは強引に走り出した。
「離せっ、ラナタスがぁぁぁっ!」
「おらぁっ、きびきび走らんかぁいっ!」
二人の姿を見送ると、ラナタスは自分が知っている人物に該当者がいないか、照合を始める。
すると、最初に照合した人物がそれに該当した。
見上げないと顔が見えないほど長身の彼ならば、間違いないだろう。
彼の元に行こうと、再びプラカードを持ち上げる。
「ラナタスちゃん、頑張ってね」
ニーノ先生と同じくアナウンスを担当していた櫻子先生が、優しく微笑みかける。
「はい、がんばります」
櫻子先生にペコリとおじぎをすると、彼女はSSS組のテントを目指して走り出した。
やがて目指すテントが視界に入ったところで、ラナタスは立ち止まった。
小さな唇から、探している人物の名前がこぼれ落ちる。
「セオ……?」
協力を要請するつもりでいた彼が、二人の仲間と共にテントを飛び出していくのが見えた。
随分と急いでいる様だ。チームのユニフォームだというピンク色のセーラー服の裾を、派手にはためかせて走っている。
何故、彼は走っているのだろう。事情は掴めないが、今は命令を優先すべきだ。
そう判断したラナタスは、セオの元へと走った。
◆◇◆◇◆
厄介な事になった。まさか、競技以外で走る事になるとは。
セオは振り返り、後方を伺った。
「お待ちなさい! セオ! グスタフ!」
大声を張り上げて、忍が自分達二人を追いかけている。賞品の『惚れ薬』を、余程欲しているのだろう。自分達に向けられた眼差しは、気が弱い者ならば圧倒されて足を止めてしまう程、気迫に満ちていた。
チームメイトである彼女を協力したいのは山々だが、あのプラカードの内容を聞いた瞬間、考えを改めて、断固として拒絶する事を決めた。
彼女のプラカードに書かれているのは、『母親をママンと呼んでいる人』。
そんな呼び方はしないし、仮に口裏を合わせたとして、そんな甘ったるいイメージを周囲から植え付けられてしまうのは御免被る。
故に、急いで逃げ出した。
「止まりなさい!」
忍の足はそう早くはないが、剣道など武術をいくつも習っている為か、スタミナがある。そのスピードは衰えることが無く、自分達の後を付いてきた。まるで狼の狩りの様だ。獲物を長時間追いかけ続けて、疲れたところで仕留める。そんな余計な想像が生まれた。
ともかく、走り続ければこちらが不利だ。早いうちに撒くべきだろう。
そう判断すると、隣を走るグスタフの姿をチラリと見た。
「はぁ…はぁ……、くそっ、誰だよ……っ、あのプラカード作った奴は……」
運動が嫌いでスタミナが無い彼の息は、早くも上がっている。さらに、これは自分もそうだが、着慣れないスカートに苦労している所為もある様だ。
「喋るな、グスタフ。呼吸が乱れる」
「わあってる!」
「だから喋るなと……、ん?」
自分達の方に、横方向から誰かが駆け寄ってきた。
ラナタスだ。
両手でプラカードを抱えた彼女は、セオの隣まで駆け寄ると、そのまま隣に並んで走る。そして呼吸の全く乱れていない涼しげな表情で、彼を見上げた。
「ラナちゃん、おひさ……」
苦しそうにグスタフが挨拶する。
「ご無沙汰してます」
「ラナタス、ここは危険だ。逃げろ」
「セオ……」
「って、はぁ…何でお前ら…、普通に喋ってんだよ……はぁはぁ…」
後ろから、忍が声を張り上げた。
「ラナタスッ、二人を止めなさい!!」
「現在、追加命令を遮断しています」
ラナタスは後方を振り返ると、普段どおりの声量でそう答えた。
その声は忍の耳に届かなかったのか、彼女はまだ「止めなさい! 止まりなさい!」と、大声を張り上げていた。
「セオ、これ……」
セオに見せようと、ラナタスはプラカードを高く持ち上げる。
しかし走りながら行った所為で、体勢を崩してしまった。ぐらりと、小さな身体が前のめりに揺れる。
「あ……」
彼女は地面に倒れ込まなかった。
セオがとっさに彼女の腕を掴み、転倒を制したのだ。
「ありがとうございます」
「大丈夫か?」
しかし彼女を助ける為に、セオは足を止めてしまった。
「隙ありっ!!」
鋭い声と共に、忍は力を振り絞ってスピードを上げる。
「やべ〜……はぁ…。逃げるぞ!」
ラナタスに驚いて一端足を止めたグスタフだったが、追われる焦りの方が遥かに強い。二人を置いてすぐに駆け出した。
セオは傍らに立つラナタスの様子を伺う。
この状況が掴めていないのか、彼女はきょとんとした目でセオを見上げていた。空気を読んでくれと一瞬考えたが、思考力を学習中のアンドロイドにそれは無理だろうと、すぐに思い直した。
先程の動作からして、何か自分に伝えたい様だが、今は立ち止まって彼女の相手をしている時間はない。忍はすぐそこまで迫っている。そして、彼女を置き去りにして自分だけ逃げるつもりは無かった。
「来い」
セオは彼女の手を引くと、グスタフの後を追った。
ラナタスも引かれるままに走る。プラカードの柄を抱きかかえると、静かな表情とは正反対に、小気味良いテンポで足を前へと踏み出し、彼の速度に合わせた。
ハルモニア組のテントの近くまで来たところで、グスタフは右に曲がって校舎側に逃げた。
セオとラナタスは、左に曲がってグラウンド側へ逃げた。
「そこの二人、止まりなさい!」
忍の大声が背後から追ってきた。
どうやら彼女は、ターゲットをセオに絞った様だ。一人で走るグスタフよりも、手を繋いで走っている自分達の方が捕まえやすい。そう判断したのだろう。いい判断だと、追われる身でありながら感心した。
それはいいとして、タイムアウトまで逃げ切るにはどうすればいいか。走りながらセオは考えた。
「セオ、あっち……」
ラナタスがプラカードを使って、グラウンドの中央を指差す。
借りもの競争のゴールだ。一番手前には、ゴールテープを持つハルモニア組のケイティとミーツェの姿があった。ケイティの隣には、『審判』と書かれた黄色い腕章を腕に嵌めたアレッサンドロ教頭が立っている。その後ろには、先にゴールしたルカとジャイルズ先生、ユルシュルとニーノ先生が、それぞれの順位の旗の後ろで体育座りをしていた。
「あれはゴールだ。お前の対象は見つかったのか?」
「はい」
走りながら、ラナタスは頷く。
セオは考えた。ラナタスの借りものの内容が何なのか、セオは知らない。見たところ、プラカード以外に何も所持していない様に見える。プラカードを見るが、記載されている面を背後に向けて彼女が抱きかかえている為、確認する事が出来ない。
しかしそれが何にせよ、このまま彼女と一緒にゴールしてしまえば、自分を対象だと勘違いした忍は、諦めて他の対象を探すだろう。
これはチャンスだ。
「行くぞ」
彼女の手を強く握ると、セオは共にゴールへ向かった。
『セオ君とラナタスちゃんが、仲良く手を繋いでゴールに向かっています。その後ろから、忍ちゃんが迫っています。みんな頑張れ〜!』
「なんだとぉっ!! お前っ、ラナタスから離れろ!!」
スピーカーから聞こえてくる櫻子先生のアナウンスに、ニーノ先生の怒鳴り声が混ざり合う。
「逃がしません!!」
逃がすものかと、忍がスピードを上げてきた。
追いつかれるものかと、セオも腕を振ってスピードを上げる。
「あ……」
急にスピードを上げたセオに付いていく事が出来ず、ラナタスが体制を崩した。手を繋いでいるお陰で転びはしなかったが。大きく前方によろける。
思わずセオは立ち止まった。
「大丈夫か?」
「ごめん、なさい……」
視線をラナタスから忍に移すと、自分達との距離はさらに縮まっていた。
もう猶予はない。
セオは腰を屈めると、彼女の背中と膝の裏側に腕を回した。
「じっとしていろ」
「はい」
返事を聞くよりも早くその小さな身体を抱き上げると、セオは走り出した。
横抱き。いわゆる『お姫様抱っこ』だ。
再び手を引いてもいいのだが、今度彼女がよろめいて立ち止まってしまったら一巻の終わりだ。それならば彼女を走らせずに、自分が抱きかかえて走ればいい。そう判断したのだ。
(意外だ)
初めて抱き上げた彼女は、想像していたよりも軽かった。生体部品が多く使用しているとは言え、アンドロイドである以上は人間よりも重いだろうと思っていたが、そんな事はなかった。恐らく、同じ体型の少女と左程変わらないのだろう。人を抱き上げた事自体がほとんど無い自分には、比較しようが無い事だが。
いずれにしろ、軽い方が走りやすくて好都合だ。
姿勢を安定させる為に、ラナタスの身体を自分の胸へと抱き寄せる。そして力強く地面を蹴り、セオはゴールへと向かった。
「ゴールイン!!」
「3位だよ〜! お疲れ様!」
ゴールに飛び込むと、ゴールテープを持っていたミーツェとケイティが元気良く祝福した。
『3位はラナタスちゃん。セオ君に抱きかかえられて、ゴールです! 続いて4位は忍ちゃん! う〜ん……、セオ君の格好がセーラー服じゃなかったら、凄く絵になるんだけどな〜。残念っ!』
「どこが残念だぁっ!! お前っ、ラナタスに何をするんだぁっ!!」
櫻子先生のアナウンスに、再びニーノが噛み付く。
「やかましぃわぁ!! 隣でギャーギャー騒ぐなぁ!!」
その頭をユルシュルが力いっぱい殴ると、ニーノは、ぐったりと地に伏した。
「ら、な……」
「あ〜、これで静かになりよったわ♪」
イタズラっぽく笑いながら、ユルシュルはニーノの帽子の下にぷっくりと出来たタンコブを指でつついた。
「やった……」
セオの腕の中で、小声でラナタスが呟いた。見ると、嬉しそうにそっと微笑んでいる。
その笑顔に緊張が解れて、セオも安堵の息を吐いた。
その時、何者かが彼の肩を、ガシッと掴んだ。
「捕まえましたわっ!!」
力強くも、明るく弾んだ声。
どうやら、自分の目論見は外れてしまった様だ。
セオは眉間に皺を寄せて振り返ると、ギラギラと輝いている忍の瞳を見た。
「忍……」
「さ、セオ。貴方は、自分の母親をママンと呼んでいるんですよ。そうですよね♪」
プラカードをセオに見せながら、満面の笑みを忍は浮かべている。肩に食い込む細い指が、彼女の漲る様な気迫を物語っていた。
どうやって切り抜けようか、ラナタスを抱いたまま考えていると、自分達の元へアレッサンドロ教頭が近づいてきた。
「さて、ちゃんと該当する人を探してきたか、確認させてもらうよ。まずは3位のラナタス君、プラカードを見せてくれないか」
「はい」
セオに降ろしてもらうと、ラナタスはプラカードをアレッサンドロ教頭に見せた。
「大きな人、です」
「ふむ、間違いないね」
セオの姿をつま先から頭の先まで見回すと、教頭は笑いながらコクコクと頷いた。
「さて、次は忍君だが、君は?」
先程の満面の笑みから一転。忍は慌ててラナタスに詰め寄った。
「らっ、ラナタスッ! 貴女もセオを狙ってたんですかっ?」
「はい」
「そんなぁ……」
どうやら追いかける事に夢中になり過ぎたあまり、自分と同じくラナタスも競技に参加している事を、敵である事を忘れていた様だ。
忍は地に突いたプラカードにもたれかかる様に、がっくりと肩を落とした。
アレッサンドロ教頭は腰を屈めて、不思議そうに彼女の顔を覗き込む。
「ん? どうしたかね、忍君?」
彼女は力なく、呻く様な低い声を上げた。
「いえ、私もセオを狙ってたんですけど……」
「ふむ、残念だが先にゴールした方に権利があるからね。頑張ってここまで走ってきたのにすまないが、他を探してきたまえ。時間はあまり残ってないがね」
「そうします……」
忍は大きく溜め息をつく。
そして、それと同じくらい深く息を吸い込むと、大きく目を見開いた。
「グスタフッ!! 隠れてないで出てらっしゃい!!」
あれだけ走り続けておいて、まだ走り続ける体力が残っているのか。これを機に、サッカーでも始めたらいいのではないか。
走り去る忍の背中に、セオは呆れながら眺めた。
これで正真正銘解放されたのだと、再び安堵の息を吐く。そして彼は、傍らに立つラナタスを見下ろした。
「ラナタスさん、セオさんと一緒に3位の旗のところに並んでください」
「はい、わかりました」
ミーツェに促されたラナタスが、セオのセーラー服の上着の裾を引っ張る。
「セオ……」
「あぁ」
促されるままに、二人で3位の旗の後ろまで移動する。
ラナタスは、隣の2位の旗の側で気を失っているニーノ先生に気がついた。
「マスター?」
ニーノ先生の後ろに座っていたユルシュルが、首をかしげるラナタスに笑いかけた。
「心配ないわよ。ここ日が当たってあったかいから、ちょっとお昼寝してるだけよ♪」
「マスター、日向ぼっこ……」
ラナタスは3位の旗の後ろに腰を下ろす。その後ろに、セオは腰を下ろした。
隣でぐったりとしているニーノの姿を、ラナタスはじっと見ている。
その横顔を、セオは見つめた。
まさか、彼女が探していたのは自分だったとは思わなかった。冷静に考えれば、ラナタスが自分の元まで走ってきた理由も理解できる。
そしていくら確認できない状況だったとはいえ、早い段階で確認しておけば、必要以上に走り回る事もなかったはずだと後悔した。
(もういい。過ぎた事だ)
頼りない自分達のリーダーの言葉を借りるとすれば、これこそが『結果オーライ』なのだろう。
頭を振ると、再び彼女を見つめた。
他にも大きな人物はたくさんいる。用務員のカレルやハルモニア組のイツカは、恐らく自分と同じくらい背が高いだろう。さらに小柄な彼女からすれば、この学園にいる半分以上の人間が該当する事になる。
そんな中で、彼女が自分を選んで、自分を頼って駆け寄ってきた。
喜ばしい事ではないか。そう思うと、胸に暖かいものが宿った。
ふと、ラナタスが振り返った。
「何だ?」
「セオ……ありがとうございます」
「礼には及ばん」
「だっこも、ありがとうございます。あたたかかった、です」
「そうか……」
柔らかく微笑む彼女を見つめながら、セオは目を細めた。
おわり
【あとがき】
ドラマCD聞いた時から思ってたのですが、セオラナ派としては、ラナタスにはあそこでセオを選んでほしいな〜、と思うのです。
ま、本編を考えると、チャンポを選ぶのが普通なんですけどね(苦笑)
あと、お姫様抱っこ♪
どちらかと言うとセオラナでは普通の抱っこの方が好きなのですが、プラカードが邪魔をしましたwww
今回はドラマCDに合わせて、忍にセオやグスタフの事を呼び捨てにしましたが、いやぁ、いつもはさん付けで書いているので、違和感がありますね(笑)
ついでに、ドラマCDだとラナタスの声に割と感情が入っていたので、少し笑顔にさせました^^
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