[携帯モード] [URL送信]

Hello, Say Good Bye
>>02











カチャカチャと食器とナイフやフォークが擦れて音を立てる。






極上の料理を口へと運び、その美味しさに頬が綻んだ。
…マナー一式、叩き込まれててまじでよかった。


愁汰が俺の横に座ってる。
テーブルの下で、愁汰の足が俺の足をつついたりする度に反応に困る。
しかも、決まって俺が愁汰の方を見るとしてやったり顔なのだ。

で、柚木くんはそのまた横の誕生日席ってーの?
そこに座ってて喚き散らしてる。相変わらず。

ぶん殴ってもいいかなー。煩くて仕方がない。

黙々と食事を食べてくけど、さっきよりもおいしくない。



ほら、まただ。



柚木くんがぎゃーぎゃーと「食いにくい」だなんだと喚き散らす。

柚木くんは、良家であるはずなのに例外らしいしね。
……給仕の人も苦笑い。
ここの人たちはどこかの会社の子息が多いからマナーも良い生徒が多い。
だから、一般家庭の生徒だって見劣りしないくらいマナーは学ぶし学んでくる。
一流に来たからには一流にならなければならない。…ってな感じ。


喚いてた柚木が愚痴を言い、それに対して副会長が給仕を睨み付けた。
脇に控えている給仕の人は、肩をビクつかせる。
あんな猿の親が理事だっていうのを知っているからか。
それとも彼の文句一つでもしかすると自分たちのクビが飛んでしまうから。


…だからこそ、完璧な所作で彼らはやるべき事をこなしてくれている。

赤ん坊でももっとマシな食い方するんじゃないかってぐらいに不愉快に食べてるけど、
料理を用意した方にしてみたらどんな気持ちなんだろ。

ぜってー、悲しい気がする。
ああ、でも、食って貰えるだけマシなのかも…?
んー、分かんないや。
今の俺にはあの頃の生活を思い出すのが無縁になりつつあんのかも。


そんな猿の横で副会長は、猿を微笑ましくみてる。
それは別にいい。ただ、神経疑うだけだから。
あの潔癖症ちっくな神経質さはどこに行ったの?ってね。
……空気がゲロ甘。

そのまた隣に視線を移すと副会長の横で、実はそりゃもう盛大に笑ってる。

…自分の右を向くと聡は、俺の横で美味そうに我関せずって態度で食事を続行中。

愁汰は、口は微かに笑ってるけど表情は分からなかった。


早く食事終わらねぇかなー…。











小さな溜息が漏れ、息苦しさすら感じる。



あとは、甘い甘いデザートが待ってるだけなのに。













戻る進む
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!