この感情を教えてください。(雲雀+10)
「ねぇ…。なんで、君は僕に対して笑わないの。」
「笑わないんじゃないです…。」
ムスリと唇を尖らせる『元』並盛中学風紀委員長。
「じゃあ、なんであの小動物と草食動物共には笑うの。」
沈黙が続く。
「…っそ、それはっ」
まさに、蛇に睨まれた蛙。
そんな状態が平行線で続く。
「雲雀、コイツに手出すなって言ったはずだぞ。」
スパーンと勢いよく開いた障子の先には黒で包まれたボルサリーノ帽を被った5歳くらいの子供。
「ちょっと、赤ん坊。…いつからいたの。
まぁ、いい。この話は今度にしよう。下がっていいよ。」
部屋から出されて襖が閉ざされる。
何もかもを締め出しているのは貴方じゃないですか。風紀委員長。
あ、今は風紀財団か。
「おめぇもだぞ、名前。簡単に、のこのことあいつに着いていくな。」
「気を付けてても、哲さんが不憫なんですよ。それに、腕力では敵わないです。」
「素直にならねーと損するぞ。」
「…はい、かしこまりました。」
完璧で隙のない営業スマイルを貼り付ける。
「やめろ。気持ち悪ぃぞソレ」
「ちっ、でも取引相手には有効ですよ。殺気含めますけど…。」
「昨晩の騒動もおめぇか…。それとツナが探してたぞ、行ってやれ。」
「はーい。」
…という会話をしたのが30分程前。
そして、現在。
…よくは分からないが、
昔なじみに捕獲されて化粧もお洒落もしてパーティー会場に連行されている。
人混みは苦手なんだけどな…。
綺麗だの、美しいだの。
そんな言葉を吐いて捨てていく色んな人。
それらを軽くかわしボスであるツナの隣で挨拶を交わす。
「…ごめんね、名前ちゃん。雲雀さんが急に名前ちゃんがパートナーなら行ってもいいって連絡が来て。」
「…初耳ですね。で、当の本人は?」
「あそこで女の人たちに絡まれてるよ。」
「そうですか。まぁ、興味ないです。」
「はぁ、名前ちゃんは相変わらず雲雀さんに手厳しいよね。」
視界の隅には私なんかよりも綺麗に着飾った女性に囲まれている雲雀さんの姿が映る。
「ねぇ、ボス。ううん、ツナ。なんで、ここがもやもやするんだろ。心臓が無数の針に刺されてるみたいで…。」
ギュッっと心臓が押さえつけられ針が刺さったような錯覚に陥る。
「嫉妬じゃないかな。俺もよくあるから。」
「…嫉妬?ジェラシー感じてるっていうの?私が?」
分からない。けれど、針は抜けない。
「やっと気が付いた訳?」
グラスに注がれているシャンパンを2つ持ちながらすぐ後ろに立っていたらしく背後から声が聞こえる。
「こんな人混みいてよく貴方が不機嫌になりませんよね。」
「もう、不機嫌だよ。暴れたいけど君がいるからね。」
口の端を吊り上げて笑う姿は様になっていて、
10年の間に積み上げられた色気が溢れ出すのをこの人は気づいてるんだろうか…。
「テラスに出よう。煩わしいからね。」
「ちょっ!?雲雀さん!?勝手に行動しないで下さいよ!!」
「うるさいよ、草食動物。」
「…あのボス、少し抜けます。」
無表情だけれでも微かに笑みを作ってツナを見つめると溜息を吐きながらも手を振ってくれた。
「分かったよ…。どうぞ、雲雀さん。もう勝手にしてください。あ、戦闘は駄目ですからね!!」
暴れないように釘を差すのも忘れなかったツナはえらいと思う。
「…で、何のようですか。」
「名前。ねぇ、君って僕に惚れてる?」
「はい…?話が見えないんですけど。自意識過剰ですか?」
「嫉妬。…したんでしょ?」
「…え、あ。違います!!勘違い!!」
頬に熱が集まるのが分かるがせめてもの抵抗をする。
「今、昔みたいに名前の顔が感情で豊かになった。」
「それは過去の話ですから!!」
「ふーん。僕の物になりなよ。脅迫メールとか手紙からも救うよ?」
「っ、それはリボーンさんが対策してますし…。」
「僕が君のためにしたいんだ。…いいね?」
クスリと妖艶に笑うと頭を撫でられた。
「…酔っていらっしゃるんじゃないですか?」
「…?何の話?」
「シャンパン飲んで酔ってるんですか?」
「フンッ、少しフラフラするだけだ…。酔ってなんかな…い。」
フラリと倒れる身体を支えエントランスまで足を運ぶ。
「哲さん、雲雀さん倒れました。迎えよろしくお願いします…。っと、重っ。」
カチカチとメールを哲さん宛てに送る。
それから迎えに来た車で風紀財団本部の雲雀の部屋まで運ぶと、
ただならぬ様子でツナが掛けて来るのが分かった。
「雲雀さんなんで担がれてたの!?」
「この時期は彼の体調不良が悪化する時期なんですけど…、無理をされてたみたいで。熱が…。」
これは半分は嘘。
彼は、根っからの日本酒好きだから慣れない洋酒で
多分酔ったのと一緒にこの時期の風邪が原因だと推測される。
「そっか…。じゃあ、看病よろしくね。信頼されてるみたいだし、」
ツナが目配せした先には熱で魘されながらもしっかりと握られた手。
今頃になって気がついて顔に熱が集まる。
「あはは、大丈夫。俺の事、信頼して?
雲雀さんは裏切らないよ。…だから、いっぱい素で笑って泣いて感情だしなよ。」
「うん…。」
…小話。
家庭教師side
「なんで、君がここにいるの。」
「熱下がったんですね…」
ふわりと営業スマイルじゃない笑みを浮かべる名前に雲雀さんが困惑したのはいうまでもないがほかの守護者には内緒の話だゾ。
gdgdさーせん。
← →
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!